perfumeなどの有名アーティストのクリエイティブに関わった音楽プロデューサー・中脇雅裕氏が教える「成功する心(メンタル)」の作り方。クリエイティブとは妄想できるということ、そして「妄想力」によって、自分はすでに成功していると潜在意識をだますことができれば、成功する“ものの見方”ができるようになるのです。
※本記事は、中脇雅裕:著『あなたの仕事はなぜつまらないのか -人生が500倍楽しくなる妄想力-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
「音楽を仕事にしたい」という相談の難しさ
「妄想力」によって潜在意識をだます……ひと言でそう言っても、実際にどう妄想をすればいいのか、なかなかピンとこないかもしれません。
たしかに、「自分はすでに成功している」と妄想をすると言っても、ただ頭で考えているだけでは、なかなか「潜在意識」にまで到達することはできません。
潜在意識をもだますような妄想というのは、どうやってすればいいのか。
そのまず第一歩として、とても重要なのが「自分の欲望を正しく知ること」です。
例えば、作曲家として必ず成功したいと思っている人が、野球がうまくて、周りからも「野球の才能あるんじゃない?」とおだてられ、本当はそこまで好きでもないのに、なんとなく「メジャーリーグのワールドシリーズでマウンドに立つ」という妄想をしても意味がありません。自分の本心ではないからです。
それと同じで、例えば「人前に立つよりも静かにコツコツ暮らしていきたい」という願望を潜在意識に持っているのに、「ビジネスで成功し、さまざまなメディアに取材されている自分」になると親が喜ぶから、という理由で妄想をしても、潜在意識はだまされてはくれないのです。
この仕事をしていると、若い方から「音楽を仕事にしていきたい」という相談を受けることがよくあります。
きっとこうした相談を持ちかけてくる方は、“音楽が好きだから”音楽を仕事にしていきたいのでしょう。それ自体は素晴らしいことだと思います。
しかし、ひと口に「音楽のプロになる」と言っても、CDをレコーディングし、ステージでパフォーマンスをする、いわゆる「アーティスト」だけが音楽のプロではありません。
作曲家なのか、エンジニアなのか、セッションプレイヤーなのか。はたまたプロデューサーになりたいのか。さまざまな仕事が音楽の世界にはあります。
さて、そんななかでも、どの仕事が一番、自分をワクワクさせてくれるでしょうか?
「本当はアーティストになりたいけど、難しそうだから好きな音楽に携わっていられればなんでもいい」
「最終的にはプロデューサーになりたいけど、そんな大それた望みを口にするのは恥ずかしいから、まずはできそうな仕事から」
こうしたことを言う方もいるのですが、こんなことではいけません。
ステージに立ち、スポットライトを浴びて観客を沸かせるのか、スタジオで音楽を作り込むのか、それを世の中にどのように仕掛けていくのか……好きな音楽と、どんなふうに関わるのが一番ワクワクするでしょうか。本当の望みと違うことを妄想しても、それは潜在意識には入っていきません。
「ワクワクすることを考えること」、それが自分の欲望を正しく知ることです。自分の欲望に沿った妄想をしなければ、潜在意識には届きません。
世の中の「良い」「素敵」に惑わされないこと
「自分が何にワクワクするのかを知る」
しかし、じつはこれって意外と難しい。このことは現代人のストレスや生きづらさの原因にもなっているのではと思います。
子どもの頃から、家庭や学校で教えられている「良いこと」「悪いこと」、そして連日メディアで報道される「良い人生」「悪い人生」。
こうした、世の中で「良い」「素敵」であるとされていることに、自分の意識が惑わされてしまうのが、その難しさの原因です。
世間一般的には、学校を卒業して、正社員になり、恋愛をして結婚し、家族を持って家を購入する。そういった人生は「良いもの」だとされます。
また、誰もが知っているような有名な芸能人になったり、または誰もがその発言に耳を傾けるような知識人となることも「良いこと」だとされるでしょう。
「ワクワクすること」や「妄想」というと、こういう人生を思い浮かべがちです。
しかし、それはもしかすると、あなたの欲望が真に望んでいることではないかもしれないのです。
もしかしたら、あなたはメディアに取り上げられ、持てはやされるような人生よりも、裏方としてコツコツ仕事をするほうに魅力を感じているのかもしれないのです。
もしそうなのだとしたら、プロジェクトに抜擢されたり、チームリーダーに任命されたり、同僚から羨ましがられるような仕事を任されたとしても、あなたは迷惑に感じるだけかもしれない。
しかし困ったことに、周囲から羨ましがられること自体には、ある程度の快感を覚えるため、自分で自分の真の欲望に気がつかないまま「これは素晴らしい仕事なんだ」と言い聞かせて合わない仕事に疲弊し、鬱になってしまう……。そんなケースさえあります。
人間というのは、もし自分が本当にそれを望んでいなくても、地位や名誉、お金を持っている人への漠然とした嫉妬や妬みを感じることがあります。そんなときは、本当にそのような地位や名誉、お金が自分にとって必要なものなのかを考えてみるといいでしょう。