まだ稽古中なのに、本番は始まっている
今でもアートってよく分からないし、自分では図工の延長みたいな趣味感覚。でも、求めてくれる人がいるのなら、そこには全力で応えたいのです。
個展に関しても、自らやりたいから動くというよりも、やってみませんか? と声をかけてくださったので実現してきました。というのも、自分からやるぜ! 私の作品を絶対に見てください! というほど自信がないのが本音。初めましての人に作品を見せてほしいと言われても、どれを見せようかとすごく悩んでしまうくらい。
でも、やりませんか? と言われればベストな状態で臨みたい。
初めての個展が決まったときは、まず会場を見に行って、展示に必要な作品数を想像しながら制作しました。作家っぽいことを言ってごめんなさい(笑)。
最近やらせていただいた西武渋谷店さんでの個展は、きっと初めて私のことを知る方もいらっしゃると思ったので、過去の作品を中心にチョイスしました。
共通しているのは、可能な限り会場が埋まるくらいの作品数を展示したいということ。スカスカな空間ではなく、たくさん飾ってあるほうが私は好きなんです。
基本的には、作品に明確なテーマやコンセプトは設定していません。その時々の、私の感情が反映されているのかな? だから、作品にタイトルもつけたくなくて、もし買っていただいた場合は、手にしたその方にタイトルをつけてほしいと思っています。
ただ、私の作品には女の子が多く登場しますが、そこには私なりの理想像が反映されています。そのモチーフになっているのが、フランスのポルノ女優のカツニちゃん(旧・カツミ名義で活動)です。
彼女はフランス人ですが、彼女なりの日本人の女の子像というビジュアルで活動していました。その姿というのが、黒髪のツインテール&ケバいメイクで、たまにくノ一(くのいち)みたいな格好をしているときも。
きっと、外国人が勝手に想像している日本人のエロい女の子というイメージだと思うんです。寿司ロール的な(笑)。その感じがたまらなく好きで、私の中で目指している女の子像こそがカツニちゃんなんです。だから、私が描く女の子たちは、彼女の雰囲気に近いと思います。ちなみに彼女は、ベスト・ア◯ル賞も受賞しています。
今年は海外での個展も予定していて、まさにただいま制作中です。写真、絵、コラージュのほか、オリエンタルな作品にも挑戦しています。
ただ、やっぱり私は画廊やギャラリーに所属している作家ではありません。絵も写真も上手ではないし、できることといえば頭の中に思い浮かんだものを下書きなしで無駄な線を使わずに描くことくらい。
絵も写真も、自分で「下手やなぁ」って思うことも多々あるけど、作っている行為そのものが楽しい。だからやってる。
『スナック ラジオ』の出演も、このコラム連載も、自分からやらせてください! という流れで実現したわけじゃないんです。めちゃくちゃ嬉しいことですが、いつも「本当に私でいいんですか? これって誰かのためになっていますか?」って不安でいっぱい。
不安だからこそ、いつも通りの自分でやるしかない。それでもし、今のお仕事がなくなっても「そうなんですね」と納得できてしまう。だって、私はもともと何も無い人間なのだから。
そんな風に「私なんて需要ないでしょ? そろそろ需要ないでしょ?」って感じでお仕事がつながってきて、いよいよその流れも薄れてきて「さすがにもう需要ないでしょ?」と思うと、また新しいお仕事の話がやってくる。
本当に嬉しいことなのですが、私の感覚としては「まだ稽古中なのに、もう本番始まってますよ!」って感じ。
絵描きとしてもっと勉強していきたいし、レベルアップもしたい。そして、もし今後依頼がこなくなったり、作品が売れなくても、いつも通り家で勝手に描いたり撮ったりし続けると思います。
もちろん、だれかが求めてくれるのであれば、
私はそれに応えるため100%サバイブするよ!