仕事、スポーツ、何においても成功するためには目の前のことに一点集中することが重要。しかし「集中するまでに時間がかかる」「頑張ろうとしても気が散ってしまう」という悩みを持つ方も少なくないはず。そこで、集中力のスペシャリスト・森健次朗氏が、どんな人でも一点集中がクセづくテクニックを紹介してくれました。

※本記事は、森健次朗:著『30秒集中法 -いきなり一点にすべての能力を集め、持続させる-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

ボールを積むだけで集中力が上がる?

私が研修などでよく指導するのが「ボール積み法」です。

やるべきことにすぐに集中するためには、集中状態をつくってから、その物事に向かうこと。そして、すぐに集中するための訓練を日々重ねておくということが重要です。

「ボール積み法」とは、その名の通り、テニスボールを2個用意し、それを積み重ねて集中状態をつくる方法です。

▲ボールを積むだけで集中力が上がる? イメージ:freeangle / PIXTA

ボール積みをおすすめしている理由は、ボールが積めるかどうかで「自分は集中できているのか、集中できていないのか」が、はっきりと目に見える形で顕在化されるからです。

集中しているかどうかというのは、実はなかなか認識することが難しいものです。集中状態は、客観的に評価することが難しく「なんとなく集中している」「しっかり集中できているな」というような、自分の主観で評価する場合が多く、あいまいなのです。

ボール積みを行なえば、

「ボールが積めた」=「集中している」

「ボールが積めない」=「集中できていない」

と、どんな人でも、簡単に自分の集中状態を認識することができます。

ボール積みが素早くできる人ほど、頭の切り替えが早く、早く集中状態をつくることができます。逆に、集中することが苦手な人ほど、ボールを積むことができませんし、積めたとしてもすぐに崩れてしまい、安定した積み方をすることができません。

「ボール積み法」は、視覚に加え、触覚も研ぎ澄まされるので、集中をつくる準備、練習として優れています。

この方法は、集中力のベースを高めることに加え、すぐに集中するためのルーティンとしても使えるので、一石二鳥です。

自分に自信を持つことが一点集中のカギ

この練習を1日5回ほど行なうと、目の前の仕事により早く、そして強く長く集中できるようになります。

これは、単純にボールを2個積むことができれば、それでOKです。

初めのうちはなかなかできないかもしれませんが、練習を繰り返すと必ず誰もができるようになります。実際に私が指導した人は全員できるようになりました。

仕事や勉強を始めてから集中するまでに時間がかかってしまう、という悩みを持つ人は多いものです。しかし、この方法をマスターすれば瞬間的にやるべきことに集中できるようになります。

やるべきことが多く、迷いから、出社してもなかなか仕事に手がつかない。忙しく心が落ち着かない。でも、平常心をつくり、落ち着いて物事に向かいたい。

このように、やる気のスイッチが入りにくく、調子をなかなか上げられない人、そして、忙しいなかでも、うまく自分をリセットさせたいという人にはおすすめです。

この方法を行なうときには、ボールが積めたらガッツポーズをとったり、心の中で「やった!」などとつぶやくことをおすすめしています。これは、小さな成功体験を得ることができ「自分はすぐに集中できる」ということを、自分で自分に言い聞かせることができるからです。

「自分は集中できる」という自信が持てれば、集中力をコントロールすることにつながります。

▲自分に自信を持つことが一点集中のカギ イメージ:takeuchi masato / PIXTA

自宅や会社のデスクにボールを置いておき、集中したいとき、気分をリセットしたいときにボール積みをしてみてください。そして、ちょっとした空き時間で、このトレーニングを行なうことで、集中力のベースを底上げしてください。

集中に対する自信を持ち、集中をコントロールすることができれば、何事も高い成果を生み出すことができるのです。