“逆張り”で受かったテレビ局の採用試験

――なぜテレビ朝日に入社されたんですか?

高橋 (ほかの企業よりも)テレビ局は新卒を募集するのが早くて、そのなかでもTBSとテレビ朝日が早くから募集していたんですよ。テレ朝には単純に受かったから入ったという感じで。TBSも最終までいったので、自分は就活向きだったんじゃないかなと思います。

あと、僕の3つ上のサークルの先輩に『激レアさんを連れてきた。』の演出などをされている舟橋政宏さんがいて、“舟橋さんが行くところなら楽しいんだろうな”という考えもありました。

――いくら名門卒だとはいえ、テレビ局の採用試験に受かるのはスゴいです。

高橋 お笑い的な考えなんですけど、ただ逆張りをしていただけです。たとえば「フィギュアスケートを流行らせるために、何か案を出してくれ」とお題が出たとき、A3の紙を1枚渡されて、みんなは企画書を書くんですけど、僕は白紙で出して「これ、スケートリンクに見えませんか? これを街中に貼るんですよ!」って(笑)。ただ何も浮かばなかっただけなんですけどね。

――すごい(笑)。テレビ局に入ってみて、どんなことを思いましたか?

高橋 当時のテレビ朝日って『アメトーーク!』『ロンドンハーツ』とかの超バラエティ班と、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』『お願い!ランキング』などの教養バラエティ班の2つに別れていたんですけど、僕は教養バラエティの方にいって、クイズを作る毎日でした。

いわゆる“めっちゃバラエティ”みたいな感じじゃなかったし、10年以上前のバラエティの制作なんで寝れないことも多々あって。当時は“なんで寝ちゃいけないんだろう?”と思っていたし、早々に“なんか違うかも”とは考えていました。要するに忙しいし、面白いものに関わってる感覚があまりないというか。

2010年の入社だったんですけど、ちょうどスマホが普及してきた時期でもあったので「時代はコッチっぽいぞ」というのは、うっすら思っていましたね。それから、自分で何かつくりたいと思って、4年目ぐらいのときに、コンテンツビジネスに携わる部署に異動しました。

――そこで、ブレイク寸前の金属バットさん、ランジャタイさん、蛙亭さんなどが出られていたYouTubeチャンネル『もういっちょ』シリーズが生まれるわけですね。

高橋 チーム内でYouTubeチャンネルを立ち上げることになり「せっかくチャンネルをつくるなら、数字が獲れるものを」という話になったとき、それだったら『M-1グランプリ』予選のラジコンのネタを見て好きだった金属バットしかいないと。

――かなり早い段階で、金属バットさんとお仕事するかたちとなりましたよね(番組は2019年4月スタート)。とても面白い番組です。

高橋 面白くしているつもりはまったくなくて、単純に二人に“気分よくやってもらいたい”というだけでしたね。やりたくないことはなるべくやらせない。クリエイティブ能力やバチクソ面白い企画は、ほかに敵わないから、もう愛するしかないじゃないですか。

そもそも大変だし、どこの馬の骨かもわからないヤツが仕事をぶちこんでしまったので、シーズン1で終わりで、2回目以降はやらせてもらえるわけがないと思っていたんですよ。二人は仕事を選ぶことで有名だけど、僕の想像以上に懐いてくれたというか。その関係がいまだに続いているから意外だな、とは思っています。

▲「こんな撮影させてイジってるでしょ!」とツッコミながら快く撮影に応じてくれた。