大事なのはしょうゆ、砂糖、豚肉の脂のバランス
タレには砂糖をビビらずに入れることが大事です。少しでも調理をした経験がある人は、レシピを見た瞬間、何かの間違いでは、と思うほどの砂糖が入っています。砂糖はうまさのもと。砂糖を入れたぶんだけ、うまくなると思ってください。
しょうが焼きのタレの基本は砂糖ですが、目的は豚肉の持つうま味と甘味に負けないくらいのタレを作ることです。しょうゆの塩分と、砂糖の甘さ、そして豚肉の脂のうまさのバランスがしっかりと取れたとき、最高のしょうが焼きのタレが完成します。
しょうがを入れるタイミングでも仕上がりは変わります。
しょうがが効いているしょうが焼きはおいしいですが、あまりに主張が強すぎると、料理のよさを消しかねません。しょうがは香りとおいしさのもとですが、辛味と苦味があり、その相反する個性が魅力ともいえるのですが、諸刃の剣でもあります。
それにしても、人はしょうがの香りをなぜこうも魅力的に感じるのでしょう。しょうがに含有する薬用成分や殺菌効果を、生きていくために必要な要素として香りから感じているのかもしれません。
しかしそれゆえ、入れすぎると、辛くなってしまう。適量をお伝えしたくても、高知産のしょうがか、外国産かでも全然風味が違いますから一概にはいえません。
となると、タレを合わせた段階で、一度舐めてみることをお勧めします。少し辛いかなと感じるくらいがベストバランス。ごはんがすすむちょうどいい味付けになります。
辛さと甘さは6:4
味見の段階で感じた辛さは、火が入ることで劇的に変化します。もちろん、味見の段階で甘さが勝っていたとしたら、それはそれでおいしいしょうが焼きになるでしょうが、こればかりは個人の好みなので、調理前に味見をして辛さと甘さが6:4などと覚えておくといいでしょう。
そして完成した料理が自分好みになっていれば、そのバランスを覚えておきます。仕上がりが少しもの足りないと感じたら、甘さを足すのか、しょうゆを足すのか、あるいはしょうがを足すのか、後日微調整をします。しょうがの香りが好きな人は、調理が終わる直前に「追いしょうが」をしてもいいでしょう。
タレを合わせて、数時間前から肉を漬け込む、あるいは直前に揉み込むというレシピもありますが、私はやりません。漬け込むと塩分で脱水してしまい、肉が硬くなってしまうからです。タレをさっと合わせるのが一番、肉のやわらかさを堪能できるんですよね。
つけ合わせは、さっぱりとしたキャベツがいいですね。茶色と緑のコントラストを楽しみながら、肉で野菜を巻いてパクリ。
[しょうが焼き レシピ]
- しっかりとした甘さがポイント
- おすすめのかたまり バラ/ロース/肩
豚ロース肉 : 120g
玉ねぎ(くし切り) : 1/8個
調味料
酒 : 40ml
しょうゆ : 20ml
砂糖 : 10g(割合で4:2:1)
しょうが : 5g
小麦粉 : 大さじ1
サラダ油 : 大さじ1
作り方
- 肉を5〜10mmの厚さにスライスし、筋切りをする。
- 1に小麦粉を薄くまぶす。
- しょうがをすりおろし、調味料の材料をすべて混ぜる。
- 油をひいた鉄のフライパンを中火にかけ、肉の片面に焼き色をつける。
- 4に玉ねぎを加え、しんなりするまで火を通す。
- 余分な油をキッチンペーパーで拭きとった5に3を入れ、全体を混ぜ合わせる。
- タレが煮詰まり、とろみがついたら完成。
ポイント
- 肉の筋切りは忘れずに。
- 砂糖をビビらずに大量に入れる。しょうがは後から入れるかタレに混ぜるかで風味が変わる。
- 肉の表面に焼き目を入れる。中心まで火を入れすぎない。
- 小麦粉をまぶすことでメイラード反応が起こりやすく、火の通りがゆるやかに。さらに汁にとろみがつき、味が舌に長時間残る。