ありんぬがパクリとお肉を口に運び・・・

ご飯とお味噌汁とお肉を並べて「たんとお食べ」と、料理を本日の寮生に差し出した。

いくらプロの寮母でも、何度も人に料理を振るまっても、初めの一口を食べてもらう瞬間は緊張する。

▲この日の献立

「ありがとう! いただきまーす!」と、目をキラキラさせて初めの一口を口に運ぶありんぬ。ありんぬはいつもしこたま感謝の言葉を言ってくれる。寮母はすでに、ありんぬのありがとうの言葉でお腹が満たされ気味だった。ありんぬといると、ありがとう貯金ができるのだ。わたしも人にたくさんありがとうと言いたくなる。

ありんぬがパクリとお肉を口に運び、モグモグしているところをドキドキしながら見守る。

「美味しい! お肉柔らかい! 味がしっかりついてるんだね~!」と言いながら箸は次のお肉へ。

▲寮生の「美味しい」が寮母の幸せ!

「ふふ、ならよかった」と寮母は余裕ぶった笑みを浮かべていたが、心の中では「よかった~~~」と、寮母の皮を剥いだ私が安堵していた。

私も一口食べてみると、、すごく柔らかい! 一夜を共にしただけあって、砂糖と塩とお肉が親友になっているかのような味だ。

どの味も、お互いを邪魔せずに私の口の中で仲良くしている。そして、シンプルな味付けなだけあって、お肉のうまみを最大限に感じられるのだ。

ありんぬは、炊き込みご飯とお味噌汁も、美味しい美味しいとニコニコ食べてくれて、寮母冥利に尽きるとはこのことだ。お肉もお野菜もお米たちも、ありんぬの健康をしっかり守っておくれ。

久々にゆっくりと二人で過ごす時間だったので、一秒も止まることなく近況を話し続けた。

美味しいご飯を食べながら、可愛い寮生と過ごすこの時間は最高だった。

ありんぬからは、いつもたくさんのことを学ばせてもらう。寮母は寮生を見守るはずの立場だが、学ばせてもらうこともたくさんあるのだ。

ありんぬは視野が広い。草食動物並に広い。恐らく前世はシマウマだろう。友達何人かで話しているときも、絶対に誰かを置いてけぼりにしない。それを自然とやってのけているから、寮母はいつも尊敬の眼差しで彼女のことを見ている。

ありんぬと話していると気を遣わないけど、それはきっと私に気を遣わせないように気を遣ってくれているからなのだ。話していて楽な人や楽しい人には、いつも感謝している。

人と食べるご飯は特段美味しく感じるもので、そのあとも楽しい時間は続いた。

最終的にありんぬは、ご飯もお味噌汁もおかわりしてくれて、今日作ったものはすっからかんになった。二度目の寮母冥利に尽きる瞬間だった。

夜も深まってきたところでありんぬとお別れし、寮母は割烹着を脱いで永瀬花帆に戻った。

ベッドに入り、なんて楽しい時間だったんだろう、と余韻に浸って目を瞑る。願わくば、ありんぬも同じ気持ちだとうれしい。

寮母とはいえ、まだまだ半人前。料理の腕前だけでなく、熟成したお肉のように味わい深い人間になりたい。そして、皆の精神的寮母でもありますように。

▲書籍を片手に記念撮影をする寮母こと永瀬花帆

プロフィール
 
永瀬 花帆(ながせ・かほ)
生年月日:1992/12/4
スリーサイズ:T166/ B83/ W59/ H88
血液型:O型
趣味・特技:写るんです撮影、メイク研究(日本化粧品検定1級取得)歯磨きチェック(歯科助手歴8年)
出身地:東京都
Twitter:@officialkahotan、Instagram:@kahotanofficial