エースの離脱と打線の中核を担う2人の不調と故障

今シーズン復活を期待されて開幕投手の筆頭だった菅野智之は、オープン戦で肘の痛みを訴えて離脱を余儀なくされた。また、離脱前から球速はほとんど出ていなかったことも懸念材料としてあげられる。

現在は2軍のブルペンで投球練習も行っており、実戦復帰も近いはず。菅野の復帰と活躍が巨人の巻き返しの大きな原動力となるだろう。

遊撃手・坂本勇人は、昨シーズンから衰えを隠せない状態なのは否めない。昨年は3度の離脱やレギュラー定着後で、自身ワーストのシーズンを送った。

背水の陣で迎えた今シーズンは、今後のキャリアを考慮したうえでフォームの改造に取り組んでいることがわかる。現状は本来の姿からはまだまだ程遠いが、休み休みで起用することによりパフォーマンスが下がることなく、マルチヒットが出る試合もある。

まだチームとしては欠かせない選手であることから、最高の遊撃手として復活を願いたい。

▲チームに欠かせない存在の坂本勇人の復調が待たれる 写真:AP/アフロ

右翼手・丸佳浩は、19日のDeNA戦の走塁中に足を痛めた影響で途中交代となった。状態が心配されていたが、登録抹消はされていない。

丸に関しても年齢的に休み休みで起用をしながら、交流戦あたりから徐々に調子をあげてほしい選手だ。そのため、現状は無理をさせずに、治療しながら5〜6月ぐらいにスタメンで出られる状態にしてほしいところだ。

投手陣は台頭し始めている若手に期待

現状の巨人の投手陣は、菅野が開幕前に離脱。そのため、若手投手の台頭が急務になっている。そのなかで外国人は、フォスター・グリフィンが開幕から3勝を挙げるなどの活躍で、先発ローテーションを引っ張っている。

また、一昨年の勝ち頭だった髙橋優貴が一軍に合流した。一昨年の実績を見ても、戸郷やグリフィンに続く先発として期待される。

さらに、WBCで活躍を見せた新エースの戸郷翔征とクローザーの大勢は、今シーズンも高いレベルのピッチングを見せている。

若手投手陣の競争が非常に激しい状況下で、頭ひとつ抜けているのは、この戸郷との大勢だろう。彼らに関しては、これからの巨人を担う選手としてさらなる活躍が期待される。

その他を見ると、開幕から先発ローテーションに入った赤星優志や横川凱を中心に、山﨑伊織や直江大輔、代木大和 、田中千晴 、船迫大雅が3~4月の段階で登板している。

横川は、23日のヤクルト戦でプロ初勝利を挙げ、直江と田中千はリリーフとして結果を残し続けている。開幕こそ2軍スタートだった山﨑は、19日のDeNA戦で勝利を挙げた。

その他の若手を見ると、平内龍太、堀田賢慎、戸田懐生、菊地大稀、井上温大といったあたりは、昨シーズンのマウンドにあがり、勝ち星も記録した。若手投手陣の競争は、より激しくなっている。

若手に関しては昨シーズンから台頭を見せ始めていたが、5月以降はもちろんのこと、長期的に見ても若い投手が育っていることがプラスに感じられた。

現在は、重要な試合や場面を任せられる若手投手は戸郷と大勢しかいないが、ゆくゆくはこのなかから複数人が出てくることが理想的だろう。

リリーフ陣は中川皓太が昨シーズン全休し、大江竜聖は3試合の登板に終わった。ただ、今シーズンの大江は復活の兆しを見せている。実績がある大江の復活は非常に頼もしい限り。

しかし、起用法を見ると、投手運用はいまだに改善されていないのが現状だ。

具体的には、不調の高梨雄平を実績頼りで無理に投げさせる場面があり、開幕当初は終盤に逆転や勝ち越しを許す試合が見受けられた。

また、4月中旬以降も調子がいい直江や田中千が勝ちパターンに固定されつつあるが、フルシーズン経験していない若手には難しい起用法と見ている。

これこそ、フルシーズン投げ切ったことやキャリアで実績がある大江や田中豊樹、今村信貴を上手に起用しながら、負担を軽減させることが鍵になっていくだろう。

首脳陣を一新したこともあり、ヤクルトやオリックス、ロッテのように、リリーフ陣の枚数の多さを活かして固定化せず、勝負の時期ではない春先から起用法のバリエーションを増やしていくことも必要となってくる。