浅井企画に行っとけばよかったかな(笑)

――事務所の方の熱意がすごかったんですね。

テツ 僕もちょうどタイミング的に27~28歳、実家からも「お前どうすんのや、これから」って言われていて。帰ってくるのか、東京でやるのかって、ちょうど流れ的にも決断をしなきゃいけないときだったんです。もう最後のチャレンジと言いますか。「もうダメでもいいや、ダメだったら帰ればいいや」っていうぐらいの気持ちで入りました。

トモ やると決まってからは、他事務所さん主催のライブのオーディションを受けにいきました。そこではコントをやったのですが、全部落ちましたね~。すぐにコントを捨てました。そしてコンビ結成3ヶ月目に「なんでだろう」の歌ネタができたんです。この「なんでだろう」を披露したら、なんと15か所くらいのオーディションに全て受かったんです。コンビを結成して2~3月がオーディション、4月は月の半分ライブに出て、5月にはテレビにも出ていました。

――ちょっと話がズレるんですが、前にインタビューした高橋さんという映像・音声プロデューサーの方が、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)の第1回チャンピオン大会でテツトモさんのネタを見て、死ぬほど笑ったと。それがお笑い好きになるきっかけだっておっしゃってて。

トモ 顔芸のネタですね、うれしいな、そんな方いらっしゃるんだ。

――第一回は1999年ですよね?

トモ そう、1999年です。8月ですね。

――結成からほぼ1年半ぐらいですよね?

トモ そうですね。1998年5月頃「なんでだろう」ネタができた直後、サンミュージックさんや浅井企画さんから「うちに所属しませんか」と声をかけていただきました。二人でどうしようかと考えていたら、6月に現在所属しているニチエンプロダクションからも「契約しませんか」と言ってもらったんです。お笑いの事務所としてのノウハウもないし芸人の先輩もいませんでしたが、この世界に導いてくださったニチエンさんにお世話になると決めました。

テツ 立ち上げようとしてた頃だったからね。浅井企画さんに行っとけばよかったかな(笑)。

――そんな(笑)!

トモ でも、両方の事務所さんにその経緯を説明したら「それはニチエンさんに所属したほうがいいですね」と言ってくださって。その後もオーディションを振ってくださったり、その現場にも来てくださり大変お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

――いい話ですね! お笑い界のために、みたいな考えだったんですかね。

トモ そうなんですよね。そうやって、たくさんの方々に支えてもらいました。1998年の5月・6月とテレビのネタ番組に出させていただき、8月には『ボキャブラ天国』にも出演できたんです。

テツ ゴールデンの最終回に出たんですよ。

トモ 若手から1組だけ出られるオーディションがあり、運良く僕たちが選ばれました。そして翌年の1999年から、NHKのネタ番組「爆笑オンエアバトル」が始まりました。

テツandトモはテツandトモでいいんです

――自分がオンバトを見ていたときは、もうかなりベテランの方なんだろうなっていう印象でした。

トモ あ、そうですか、歳取ってたから(笑)。

テツ ああ、そう歳だけ、そうそうそう。

――若手とは全く思えないぐらい、お二人が上手すぎたんです(笑)。なんでだろうも完成されていて。

テツ あー、それはインタビュアーさんの先見の明、談志師匠と同じですね(笑)。

――(笑)。それもお伺いしたいなと思っていて。芸人人生において忘れられない言葉ってありますか? やはり、テツトモさんの恩人と言われている談志師匠でしょうか?

トモ そうですね、談志師匠からいただいた言葉は数えきれないくらいあります。番組で「テツandトモのキャッチフレーズを考えてください」と言われたときに、コミカルソングとか、コミックソングとか、動いて歌って……など、いろいろと考えたんです。そしたら、談志師匠が「テツandトモは、テツandトモでいいんですよ」と仰ってくださって。

テツ いろいろ考えたんだよね。

トモ うん、考えたけど、その談志師匠の一言がうれしかったですね。

――テツandトモがジャンルなんだよっていう。

トモ そうなんです。そういうふうに言ってくださったのがうれしかったです。

テツ 談志師匠の言葉は取材とかでも言ってるんですけど。ほかで言うと「偉大なるマンネリ」っていう言葉を言ってくださった、『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系)という番組の総合演出をなさっていた白井荘也さん。

もうお亡くなりになったんですけど、僕たちがコンビを組んだ最初の頃に、お宅にも行ったことがあって。そのときに言ってくださった言葉が「マンネリは続けることに意味がある。それが素晴らしいんだよ」っていう言葉をいただいて。すごい言葉だなと思って。その言葉は「なんでだろう」とつながってるのかなって思います。

――自分が飽きちゃダメだよってことですよね。

テツ そうですね。僕もいまだに「なんでだろう」に飽きてないんで。

▲「なんでだろう」に飽きることはないと話す二人