『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)で決勝に初進出したダイヤモンド。一昨年までは準々決勝の壁を破れなかったが、昨年は「クレイジーな輝き」というキャッチフレーズで表現されたように、独特な世界観の漫才を磨き、ファイナリストまで駆け上がった。

結果は残念ながら10位、決勝出場者のなかでは最下位だったが、ネタ披露後の審査員との絡みや野澤の表情はお笑いファンを中心に大きな話題となった。

2023年は全国ツアー、マヂカルラブリー・囲碁将棋との3マンツアー、そしてヨネダ2000とハイツ友の会との3マンツアーを開催する彼らに、2022年はこれまでのダイヤモンドと何が違ったのか、『M-1』ファイナリストになるためにした改革やネタ作り、そして今後についてニュースクランチがインタビューした。

▲ダイヤモンド(野澤輸出/小野竜輔)【Crunch-special-intervieW】

『M-1』決勝進出で関西出番が増えたけど・・・

――『M-1』決勝進出から約半年が経ちましたが、この半年間いかがでしたか。

小野竜輔(以下、小野) 最下位だったので、ほかの賞レースとは比べ物にならないくらい賛否両論、いろんなご意見をいただきました。いまだに「『M-1』おもしろくなかった」とか言われますよ(笑)。僕らは決勝進出前から劇場の仕事が多かったので、そこまで忙しさは変わらないですが、これまであまり呼ばれなかった関西の劇場とかに呼んでもらえるようになったり、ルミネtheよしもとの本公演にも出られるようになったので、それはうれしかったですね。

――やはり『M-1』で全国的に知名度が上がったんですかね。

小野 今までよりはあると思うんですけど、まだ関西ではあまり知られてないですね。寄席のときは「僕らのこと知ってますか?」って聞くんですけど、関西だと手を挙げるのは2~3割。「じゃあ『M-1』の決勝見た人?」って聞くと、7~8割の方が手を挙げるんで、“あ、印象には残ってないんだな……”って感じます(笑)。でも、僕は大阪のNSC出身なので、いつかはNGKでも単独をやりたいって思ってます。

――ネタだけでなく、得点が発表されたときの野澤さんの顔も話題になりましたね。

野澤輸出(以下、野澤) 『M-1』直後はいろんな場面でいじってもらったので、一時はそれで覚えてくれていた人もいると思うんですけど、最近はあまりですね(笑)。

▲『M-1』直後はいろんな場面でいじってもらいました

ちゃんと頑張れば結果が出ることを実感した

――昨年、お二人は準決勝も初進出でしたが、そのままの勢いで決勝進出を決めました。それまでと何か大きく変えたことはありますか?

小野 いろいろ変えましたね。今まではWボケとか、野澤がツッコミで僕がボケとか、あえてボケツッコミを固定しないで、いろんなパターンでネタをやってたんです。だけど、昨年は野澤がボケ、僕がツッコミで固定してネタを作ろうって決めました。あとは衣装も変えましたね。それまでの準々決勝も、僕の中では手応えがあったんですけどダメだったので、なんか大きく変えないとダメなんだろなって。

野澤 僕も、この形じゃ無理なんだろうなっていう思いはありましたね。

小野 決勝に行けるレベルなのに準々決勝で落ちる人と、決勝に行ける人の差ってなんだろうって考えたときに、最後は気持ちの差かもしれないなと。審査員も人なので、『M-1』に懸けてる感じは出したほうがいいんだろうなと思ったんです。『M-1』に向き合ってる感というか、姿勢をわかりやすく見せないといけないなって。だから、昨年はネタをめっちゃ詰めて、舞台でたたきました。負けたくないんで。

――たしかに、ムゲンダイメンバーでも「M-1優勝」を公言している人は多いですよね。

小野 そうですね。特に決勝常連のゆにばーすやオズワルドは、毎日のようにネタについて言い合いしてるんですよ。あの2組みたいには頑張れないな、と思っていたんですけど、昨年は細かくボケの並べ替えをしたり、ちょっとした言葉を言い換えたり、かなり詰めてやりました。

その結果、やっと決勝に行けた。こういうことをやったからといって誰でも行けるわけじゃないとは思うんですけど、ちゃんと頑張れば結果が出させる大会なんだっていうのは実感しました。

――ネタ後の手応えも、それまでとは違いましたか。

小野 どうですかね。でも、直前のダンビラムーチョとその前のケビンスくらいしか見てなかったので、どうなるかはわからなかったです。“あの人たちウケてるな”とか思って、自分たちのできを左右されたくなかったので。だけど、本当に仲がいいから言えることなんですけど、ダンビラのウケがあんまりだったので、すごいリラックスしながらできましたね(笑)。

野澤 僕もその2組くらいしか見てないですね。でも、自分らの中では“これまでで一番いいできだったな”とは思いました。なんか思ったよりいい感じでウケていたし、あのネタであのウケ方なら大丈夫かなと。

――決勝進出発表までの時間は、あまり緊張せずに待っていた感じですか?

小野 いや、あの待ち時間は、今までの人生で一番長い2時間だったかもしれないです。キュウのピロとかウエストランドの河本(太)さんたちと一緒に居酒屋で飲んでたんですけど、みんな絶対『M-1』の話はしないように、普段じゃ絶対に言わないようなしょうもない下ネタとか言ってましたね。でも全然、時間が経たなかったです(笑)。

▲あの待ち時間は人生で一番長い2時間でしたね