僕らのネタは3分くらいがちょうどいい

――普段、ネタ作りはどのように行っているんですか?

小野 基本の枠は野澤が作ってくれるんですけど、ざっくりした台本なので、そのあとは試しながら二人で改善していく感じです。

野澤 そうですね。僕は0から1は作れるんですけど、そこから直すっていうのがあんまり得意じゃないんですよ。性格もあって、すぐにめんどくさくなっちゃうし、自分が作ったものを否定して直していくっていうのがあんまり……。でも、それをしないといいものにならないのはわかってるから、小野にいろいろ言ってもらえるのは本当にありがたいです。

小野 『M-1』で勝つには、一行でも一文字でもおもしろくしていかなきゃいけない。オズワルドとかゆにばーすは常にその作業をしてるから、漫才への向き合い方はやっぱり別格だなと思います。

野澤 本当に尊敬ですよね。僕だったら、じゃあもういいよ!ってなっちゃうと思います(笑)。おもしろいものを作るためには、そこまでしないといけないのはわかってるんですけど、やりたくないんですよね~。

――(笑)。自分の出た番組を見られない人、いますよね。

野澤 あ、そうです。そのタイプです、去年のM-1もまだ見返してない。

小野 去年のM-1はそれだけの理由じゃないと思うけど(笑)。

▲野澤は去年のM-1もまだ見返してないという

――ダイヤモンドさんのネタは、発想力というか人とは違う目線というか。他にはない視点に毎回驚かされるんですが、小野さんは野澤さんの書いた台本を読んで、すぐにその真意を理解できるんですか?

小野 何を伝えたいのか、どこで笑わせたいのか、わからないネタもたまにありますね。お客さんの前でやったときの反応を見て、“ここだったのか!”と、わかるネタもありました。

野澤 小野に台本を渡した時点で伝わってないネタは、あんまりいいネタじゃないんだと思います。やりたいことは浮かんだけど、それをやると4分にならないことがよくあって。そういうときは途中で展開させたり、他の要素を足していくんですけど、そうすると本当にやりたいことがわからなくなっちゃうんですよね。

だから、そういうのはあんまりいいネタじゃないなと。僕らのネタって基本1アイデアなので、3分くらいが合うんですよ。『M-1』が3分の大会だったらよかったなと思います。

小野 最近は寄席とかも多くなってきたので、10分の出番とかもあるんですけど、そうなると4分ネタを2本やったりしなきゃいけないので、難しいですね。本当は、1本しっかりした長尺のネタか、2本のつなぎ目がわからないくらいのネタをやりたいんですけど。

自分たちに一番近いタイプはシンクロニシティ

――なるほど。お二人にお聞きしたいと思ったのは、ライブでウケるネタと『M-1』で勝てるネタは違いますか?ってことなんです。特に、ダイヤモンドさんは他のコンビとは違うところから発想されているような気がしていたので。

小野 うーん、本当は一緒なんでしょうけど、僕らは違うのかなって感じがします。

野澤 そうですね。ネタを考える時点で、これは寄席でウケそうだなとかは考えてないんですけど、“これは『M-1』で使えるかも”とはちょっと思ったりもします。芸能人の名前とかの固有名詞を使うのが好きなんですけど、そういうのはあんまり賞レースには向いてないんじゃないかと思いますね。勝手に思ってるだけですけど。

小野 でもまあ、モグライダーさんとかは「さそり座の女」のネタで決勝に行ったし、ウエストランドさんも優勝したから、そういうのも面白かったら関係ないのかなって。

野澤 そうですね。だから、固有名詞を使ったネタだからとか関係ないとは思うんですけど、ちょっと違うほうがいいのかなとは思っちゃいます。

――他の芸人さんのネタは意識しますか?

小野 自分らもやりたかったテーマだな、とか思うことはあります。特にキュウとか、最近だとシンクロニシティとか。

野澤 シンクロニシティは、僕らのネタと一番近いタイプなのかもしれないですね。

小野 キュウとは途中までタイプが近かったんですけど、最近は枝分かれした感じですね。だから2組一緒に決勝に行けたんだと思うんですよ。だけど今、僕らの枝のところにはシンクロニシティがいる。シンクロニシティも1テーマですけど、毎回ちゃんと形にしてるし、三段落ちとかのテクニックもちゃんと使ってて、作り方がうまいんですよね。

野澤 シンクロニシティとは、おもしろいと思ってることが近いんだろうなって思います。