学校の勉強は「思考」を学ぶこと
――学校の勉強で学んだことを芸事に応用している様子も書かれていました。
菅 それは裏のテーマでもあるんです。学校の勉強って「数学の連立方程式って、いつ使うの?」とか「国語のあの本を読んだからといって……」みたいに、「社会人になっても役に立たない」とよく言われるんですけど、僕は絶対にそんなことないと思っています。学校の勉強って、数学的思考・国語的思考・歴史的思考など「◯◯思考」を学ぶもんやと思っているんですよ。
それは別に芸人だけじゃなくて、社会人も一緒で、たとえば「相手が喋っていることをちゃんと理解できるか」って、結局は「学校の先生が言ってることをちゃんと聞いて理解しているか」と一緒なんですよね。そうした根本的なことを、みんなおろそかにしているような気がしていて……。当時、そのようなことを考えていましたね。
――コンビの仕事はもちろん、宇治原さんはクイズ番組、菅さんは執筆業など、個人のお仕事も増えていきました。宇治原さんに対する気持ちに変化はありましたか?
菅 それはなかったですね。ただ、二人とも独り立ちしてきたかな、というのはあります。コンビでも、支えてもらわないと立ってられないようでは、ちょっと厳しい。 一人ずつでも立てるからこそ、寄り添えるというか。それが40代になったときに、はっきりと「一人でも立っているよね」と言えることができたかな、とは思います。
――菅さんにとって「文章を書く」というのは、どういった作業になるでしょうか?
菅 軸ですね。基本的には僕、どの仕事をするうえでも書くんですよ。まず、アウトプットする情報を箇条書きにして、「これはnoteだ」「これはYouTube(ロザンの楽屋)だ」「これはネタだ」と、どの媒体が適しているかで分けます。だから軸ですね。
〇【衆議院の解散騒動】与野党ともに思うこと
こんなこと書いて解散したら爆笑するやろな(笑)
――本を書いたことで、宇治原さんやコンビのことなど、気持ちに整理がついたことがあれば教えてください。
菅 「関係性などは確固たるものになった」とは思います。ただ、これで仲が悪くなったらオモロいやろなとは思いますね。こんな本を書いて解散したら爆笑するやろなって(笑)。
――(笑)。読ませていただいて「宇治原さんへのラブレター」にも思えました。長年、関係を続けている宇治原さんの魅力は、どんなところにあると感じますか?
菅 賢いというだけじゃなくて、倫理感であるとか、道徳心であるとか、それらがちゃんとしてるかなとは思うんですけど、最近それを前に押し出しすぎていて「こいつ板についてへんな」とは思います。
――あはははは(笑)。
菅 意識しすぎて、その話ばっかりするから、全然板についてへん。いつか二人でやっているYouTubeで言うたろ、とは思っています。しばらく泳がして、見てる人の気持ちと自分の気持ちが合致してから言うたろかなって(笑)。
――長年ずっと一緒にいて、こんなに相方に興味のある人も珍しいなと思ったんです。
菅 それは、お互いに日々成長しているからだと思うんですよ。それにプラスして、世の中が動くと「じゃあ、この出来事について宇治原さんはどう思うんやろう」って知りたくなる。そう思える人が近くにいるって稀有やったりするじゃないですか。僕ら仲は良いんですけど、感覚は違うし、自分とは切り口が違うので、それが心地いいなとは思います。
――今回、過去の自分や、宇治原さんなどに手紙を書かれましたが、逆に、宇治原さんは菅さんのことをどう考えていると思いますか?
菅 こうして取材していただいたときは、良いように言うてくれるし(笑)、お互い尊敬してるのかなとは思うんですけど。
――お二人で仕事をしていて「楽しい」と思う瞬間は、どんなときですか?
菅 ありがたいことに、僕ら「楽しい」と思う仕事しか残していないというか……。これもロザンの特性やと思うんですけど、番組とかCMとか長くやらせてもらっているものが多くて、やりやすいようにさせてくれるんですよ。だからより、楽しくできているんだと思います。幸せなことですよね。