総額5億ドルの契約でも「過小評価」の理由は?
一部ファンや関係者からは「これでも過小評価」と言われたりします。というのも、年俸5,000万ドルでも大谷選手の理論上の価値にはおよばないからです。ここで一旦、かなり単純にして考えましょう。大谷選手は野手と投手、2人分の貢献ができます。ですので、野手分と投手分の給料をもらうべきでしょう。
まず、投手としてはエース級の成績を残しているので、エース並みの給料を貰って当然でしょう。現在、投手で最も年俸が高いのはメッツのマックス・シャーザー選手とジャスティン・バーランダー選手の2名(双方とも年俸4,333万ドル)であり、他にもヤンキースのコール選手(同3,600万ドル)、レンジャーズのジェイコブ・デグロム選手(同3,000万ドル)が筆頭に並びます。
そして野手としても、守備分のプラス価値がないとは言え、投手同様にエリート級の選手と同じ待遇を貰うべきである点は言うまでもないでしょう。野手ではヤンキースのアーロン・ジャッジ選手(年俸4,000万ドル)をはじめ、同郷エンゼルスのアンソニー・レンドン選手(同3,857万ドル)やトラウト選手(同3,712万ドル)をはじめとして、3,000万ドル越えが普通の世界になってきます。
控えめに見積もったとしても、仮に投手・野手分それぞれ年俸3,000万ドルずつ貰うべきとなった場合で、すでに6,000万ドル。ここで、前述したESPN社のアンケート結果での平均年俸4,700万ドルを30%近く超えています。そこに2選手分の貢献を選手枠1つから得られるシナジー分の価値、見込まれる興行収入分の価値、リーダーシップ・人格などの定量化できない価値を考慮すると、なおさら割安と言えるでしょう。
もう少し定量化してみます。本連載で乱用しているWAR*で見ていきましょう。
*WAR(Wins Above Replacement)などの詳しい説明は「株式会社DELTA」さまの解説ページを参照ください。NPBの最新ランキングも掲載されています。https://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_index_detail.aspx?gid=10105
2021年にWARの計測をおこなっているFangraphs社が出した記事では「理論上の1WARあたりの金額」を算出しています。
2年前の数値である点、細かい前提条件などを考慮すべきではありますが、便宜的に上記平均1WAR=812万ドルを採用しましょう。これを大谷選手に適用すると、どうなるでしょう。
彼のピークである2021~23年の平均を取った場合、理論上の年俸は脅威の7,440万ドル(≒107億円)となります。さすがにこれだけの年俸を支払う球団は出てこないとは思いますが、数字をそのまま読み取った場合は、これだけの価値があるということになります。
Just for fun:筆者の予想
以前、吉田正尚選手の契約予想を盛大に外した恥ずかしい経験を持つ筆者ですが、せっかくなので、KZillaの予想をここに載せておきましょう。
年俸:5,500万ドル
契約期間:12年
契約総額:6億6,000万ドル
チーム:ニューヨーク・メッツ
MVPの最大の競争相手であるアーロン・ジャッジ選手(ヤンキース)が離脱をしてしまった以上、ほぼ独走状態で2度目のMVP獲得は(現状)間違いなし。ここ3年の無双状態が市場価値を爆発させ、古巣のエンゼルスに加えて、金満球団のロサンゼルス・ドジャースやサンディエゴ・パドレス、チームの柱の獲得を試みるシカゴ・カブスやサンフランシスコ・ジャイアンツ、全てを失ったニューヨーク・ヤンキース、と壮絶な争奪戦が繰り広げられるものの、最終的に制するのは圧倒的な金満球団のニューヨーク・メッツだと予想します。また盛大にスベりそうな気もしますが、まあ気にしないでおきましょう。
最後に
米The Athletic社の現役選手アンケートによると、回答者の6割弱が大谷選手のロサンゼルス・ドジャース入りを予想しています。
〇MLB players predict Ohtani to Dodgers in 2024 The Athletic polled around 100 MLB players and 57.2 percent s theathletic.com
筆者的には、東海岸の某ニューヨーク・ヤンキースへ移籍いただきたいところではございますが、果たしてどうなることでしょうね。2023〜24年オフ、全世界の目は大谷選手の去就に向けられます。
〇【筆者の赤っ恥記事はこちら涙】メジャーでの活躍も期待大! ニューヨーク・ヤンキース吉田正尚、爆誕!?