日本人選手の不在で空気になってしまったヤンキース
言っちゃっていいかな? 今が日本人メジャーリーガーの黄金期です。もはや紹介は不要な大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)を筆頭に、ダルビッシュ有選手(サンディエゴ・パドレス)、吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス)、千賀滉大選手(ニューヨーク・メッツ)、鈴木誠也選手(シカゴ・カブス)、前田健太選手(ミネソタ・ツインズ)、菊池雄星選手(トロント・ブルージェイズ)、藤浪晋太郎選手(オークランド・アスレチックス)と、数多くの日本人選手が各チームで主力として活躍しています。
しかし、メジャーリーグに連なる日本人選手所属のチーム一覧を見ると、あの名門球団ニューヨーク・ヤンキースの名前がないのをお気づきでしょうか。歴史的に松井秀喜選手、イチロー選手、黒田博樹選手、田中将大選手といった日本人スーパースターが多く所属をしてきたヤンキースが、ここ3年間は日本人選手を備えておりません。
よって、日本のスポーツメディアにヤンキースが取り上げられることは激減しました。強いて言うなら、一部媒体が大谷選手の記事を配信するにあたり、「アーロン・ジャッジが大谷のホームランを強奪」「大谷のライバル、ミゲル・アンドューハがDFA」「ヤンキースが大谷翔平を絶対に獲得できない理由」など、脇役としてヤンキースを槍玉に挙げるぐらいでしょうか。
さて、日本人選手が所属をしていないヤンキースですが、じつは日系人選手が2名メジャーロスター入りをしているのはご存知でしょうか。今年のWBCで全国の侍ファンを虜に取ったラーズ・ヌートバー選手(カージナルズ)と同様に、日本のDNAを継ぐヤンキー(中高でヤンチャするほうじゃない)をご紹介しましょう。
コミュニケーションの達人・ヒガシオカ捕手
1人目は捕手のカイル・ヒガシオカ選手(33)。カルフォルニア生まれの日系4世で、2017年から19年シーズンは控えの控えとしてメジャーとマイナーを行き来し、2020年以後はメジャーに定着。控え捕手としてヤンキースを堅実に支えてきました。
現エースのゲリット・コールとは同郷かつ同級生であるうえに、一時期は控え捕手ながら専属キャッチャーを務めていたこともあったり、同じスカウト(デビッド・キース)にドラフトされた経緯もあったりと、なにかと強いつながりがあったりもします。また、田中将大選手が所属をしていた時期は、コミュニケーションを活性化すべく、日本語を(少しずつ)習得をしたこともヤンキース界隈では有名な話です。
打撃は平均以下(生涯打率.204、OPS.636)ではあるものの、259試合712打席で33HR(シーズンフル出場で21HRペース)を放つなど、パンチ力を秘めていたり、持ち味のフレーミングを中心とした守備力の高さを有していたりと、一般的な控え捕手以上の貢献をしていると言えるでしょう。
昨年はファングラフ社が計測しているfWAR※では1.7、とスタメン野手の平均が2.0とされているなかで、より少ない出場数で近しい成績を残している点は評価に値するべきです。
※WAR(Wins Above Replacement)などの詳しい説明は「株式会社DELTA」さまの解説ページを参照ください。NPBの最新ランキングも掲載されています。https://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_index_detail.aspx?gid=10105
Higashioka guns down Shohei Ohtani! pic.twitter.com/zmBoWoetMr
— Talkin' Yanks (@TalkinYanks) August 31, 2022
そして、強打率や平均打球速度、xSLGやxWOBACONといった打撃の潜在指標は、軒並み自身のキャリア平均・リーグ平均を上回っており、地味にブレイクを期待している選手だったりもします。現正捕手のホセ・トリビーノ選手が、かなり不振にも見えるので、正捕手ヒガシオカの未来はそう遠くないかもしれません(出場機会こそ少なかったものの、WBCではアメリカ代表に選出されたくらいのポテンシャルを秘めています!)。
ちなみに、日系人らしい最大の要素は物腰の柔らかさでしょうか。フィールド上やチームメイトとの会話時には常に冷静・淡々とこなしているほか、インタビューなどでもスマートな会話・対応ができている印象が強いですね。一人でギターを弾いたり狩りに行ったり、という趣味も日本のオタク気質を感じますね(もちろんいい意味で)。
Higgy Hammer Time. pic.twitter.com/xxElPxpMIV
— New York Yankees (@Yankees) April 15, 2023