完璧な投球内容でヤンキースの歴史に仲間入り

現地時間6月28日、ヤンキースのドミンゴ・ヘルマン投手がメジャーリーグ史上24度目の完全試合(パーフェクトゲーム)を達成しました。対戦相手のオークランド・アスレッチクス〔日本では藤浪晋太郎選手の所属先として最も有名でしょうか〕の本拠地オークランド・コロシアムにて、走者を一人も出さずに9回を投げ切る=27人の打者と対戦し、27人全員をアウトにしました。

まずはヘルマン投手が、いかにスゴかったかについて解説をさせてください。この日のヘルマンは終始、三振と凡打を量産し、文字どおり圧巻の投球でした。唯一のヒット性の打球は、5回のセス・スミスが放ったファーストゴロ。打球速度106.5mph(171.4km/h)、ヒット確率.480ではあったものの、一塁手のアンソニー・リゾ選手が好守を魅せ、無事アウトに取りました。

投球数は99球と“マダックス”(100球未満で完投)を達成。MLB全体でもマダックスは去年の8月22日ぶりとレアです(現カージナルスのジョーダン・モンゴメリー投手が記録)。ヤンキースにおけるマダックスは、2017年4月27日のレッドソックス戦を田中将大選手が97球で締めた以来となりました。

99球のうち51球がカーブボールと、ヘルマン自慢の宝刀をとにかく多投しました。カーブだけで空振りを12回奪い、9奪三振のうち8つはカーブで奪取(7つは空振り、1つは見逃し)しており、完璧に操れていたのではないでしょうか。とある場面では、2球連続カーブを外した2ボール0ストライクからの追いカーブを決め、さらに3-1、3-2でカーブを連投して空振り三振を奪い、カーブへの圧倒的自信が見られました。

残りはストレート(31球)及びチェンジ(17球)のみで、たった3球種を入り混ぜてやりくりしていました。ストレートも平均球速が92.3mph(148.5km/h)とメジャーリーグでは平均以下であるのに関わらず、カーブとチェンジとのミックス及び自慢のコントロールで打者を手玉に取ることに成功しました。

メジャーリーグにおけるパーフェクトゲームは2012年以来、実に11年ぶり。最後に成し遂げたのはシアトル・マリナーズの英雄、フェリックス・ヘルナンデス(2021年に引退)選手でした。また、ヤンキース史におけるパーフェクトゲームは、1999年7月18日のデビッド・コーン選手以来、実に24年ぶり! 旧ヤンキースタジアムが懐かしいですね。

〇Watch all 27 outs of David Cone's perfect game

ヤンキースの歴史を振り返ると、1956年のドン・ラーセン選手、1998年のデビッド・ウェルズ選手と合わせて4度の完全試合を達成しており、これは1チーム最多です。そしてラーセン選手の試合は、なんとワールドシリーズで成し遂げられ、MLB史上、プレイオフにおける唯一のパーフェクトゲームです。ミス一つなく完璧な投球をすることもスゴいのですが、それを世界最高峰の戦場でやってしまうことが、いかにとんでもないことか! もう二度と見られないかもしれませんね。

〇WS1956 Gm5: Scully calls Larsen's perfect game

ちなみに、プロ野球では2022年4月10日、佐々木朗希選手が圧巻の15奪三振パーフェクトゲームを達成したのが記憶に新しいのではないでしょうか。