令和年8月6日、横浜武道館で幕開けとなるプロレスリング・ノアの真夏の最強決定戦『N-1 VICTORY』。6月22日の後楽園ホール大会で参加選手が発表された時、さまざまな思いを巡らせていたのはNOAH屈指のパワーファイター・稲村愛輝だ。
2017年9月にNOAHへ入門し、2018年8月5日の後楽園のバトルロイヤルでプレデビュー戦を経験。その後、熊野準戦で正式デビューした生え抜きの選手だ。昨今は全日本プロレスなど他団体にも多く参戦し、巨大な体を活かしたファイトスタイルで各所に爪痕を残している。
昨年、一昨年は出場が叶わなかったが、今年は満を持して参戦が決定した。そんな彼は「当然優勝、なんなら1回も負けずに全勝したい」と、この大会にとてつもない強い覚悟で臨んでいるのだ。
苦手な分野を克服し、さらなる強さを追求していく
最近のNOAHではシックスパックが光る絞った体の若手レスラーが多く、そのなかではひときわ目立つ大柄な体格を維持している稲村。昭和のプロレスファンからすると懐かしさを憶える風貌だが、なぜそのような体型を目指したのだろうか。
「単純に“デカい人が強い”っていう考えがあって。子どもの頃からプロレスはもちろん、アニメや特撮でもかっこいい・スピードが速いキャラクターより、大きくてパワーが強いキャラクターに憧れを持っていました。プロレスラーでいうとWWEのブロック・レスナー、あと伝説のタッグチームのロード・ウォリアーズ。アニメだと『ビーストウォーズ』のコンボイっていうゴリラのロボットが好きでした。
中学・高校の柔道や相撲を始めた頃から身長も伸びてきたので、格闘技をするために憧れの大きい体を目指しました。プロレスを始めてからは、ずっと『ストロングマン』トレーニングをやっていますが、同じトレーニングをやっているデカい選手たちは『ストロングマンには6つに割れた腹筋はいらない。1つのでかい腹があればいい』って言いますね(笑)」
トレーニングサイトで取り上げられるほど一躍話題となった、大型トレーラーのタイヤを使ったストロングマントレーニング。現在も継続しつつ、N-1のために新たな練習メニューを取り入れて日々励んでいるようだ。
「今までのストロングマントレーニングではタイヤの持ち上げ、砂袋を抱えてのランニングを中心にしていましたが、引き付ける力と握る力も身に付ければ、もっと強くなれるんじゃないかと。それで、最近は引き付ける力を強くするトレーニングと、握る力を強くするための懸垂をしています。2023年初めに膝を痛めて、スクワットや下半身のトレーニングができなかったタイミングで始めました。
引き付けるトレーニングでは、350キロのタイヤにロープを括りつけて引っ張って走ります。懸垂はすごく苦手だったんですけど、“そこを逃げちゃ駄目だな”と思い、ここ数ヶ月はほぼ毎日やっていますね」と自分のウィークポイントにもしっかりと向き合う姿勢が見える。