幸せは自分の足元にあった

やがて、人気番組にも出れたし定期的にオーディションにも受かった。それでもブレイクまでには至らない、気がつけばまた1年が経っていた。

かつての自信はどこへいったのか。自信をなくしていたし、やさぐれていた。なぜなら時間は無情だからだ。不安と戦い、酒に逃げて、やさぐれるようになった。

30代後半の芸人が解散や引退を発表するのは、芸人が一番悩む時期だからだろう。芸人を辞めて就職するならラストチャンスだし、いつまでこんな生活をしているのだろう? と思い悩むからだ。月日の流れの速さを一番体感できる年齢でもある。

気がつけば不惑が見えてくる。周りの同級生はみんな結婚して、子供が産まれ、会社ではそこそこの役職になっている。

「いつまでこんなことしてるのだろう?」が常に付きまとう。そして芸人は二択の人生を歩む。売れていくか、あるいは辞めていくか。

俺はどうなるのだろうと常に不安だった。だが、41歳で最愛の彼女と結婚して、2人の宝物ができた。初めて、年齢に対する不安を払拭できた気がした。年齢にとらわられなくても、幸せは足元にあったからだ。

月日の流れは残酷だ。自分のために生きるとあっという間に過ぎていく。だが、人のために生きようとすれば何もツラくないし、ゆっくりと流れていく。

俺は今47歳。人生の折り返し地点でこんなことに気がついてしまった。余生で売れたらいいなと思っている。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回7月21日(金)更新で最終回です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする47歳。Twitter:@TAIGAtrendy