人気お笑いコンビ・EXITの兼近大樹が8月22日、自身初となる写真集『虚構』の発売記念イベントに登場。「一日店長」として、会場であるHMV&BOOKS SHIBUYAの制服を着用して現われた兼近は、写真集が発売されることになった経緯や気になる内容について、報道陣の質問に答えた。

▲HMVの制服に身を包む兼近大樹

相方・りんたろー。に嫉妬されるほどの完成度

もともとはEXITのファンクラブ恒例の誕生日企画として、兼近自身がファンのために発案した写真集。撮影のシチュエーションも兼近自身が考案し、細部まで作り込んだ。

兼近は「(一般の写真集は)本来ありえない構図を、ありえるような感じで撮ってるわけじゃないですか。今まで皆さんが見てきた写真集は全て作られたものですよ、というのを伝えるための暴露本みたいな感じで作りました」と写真集のコンセプトを説明。

地元・札幌でテレビ塔をバックにポーズを決めたショット、海辺での一人キャッチボール、ホテルの部屋で裸でイチゴやクロワッサンをかじる様子、海辺で花火をしてはしゃぐ姿、スーツを着たままバスタブに沈み込むショットや、ベッドでしなやかな肉体美を惜しげもなくさらした美麗ショットなど……アイドル顔負けの写真が満載の一冊は、まさに自然さとは対極の、作り込まれた「虚構」の世界だ。

▲地元である札幌でのロケを振り返る

「『どっかで誰かがやってたやつ』というのがコンセプト。誰もが『これ見たことある!』って思うようなやつです。例えばソフトクリームをなめてて、それが鼻にちょっとついたりとか、そういう『絶対誰かがやってたよね』っていう写真を撮ることにこだわりました」

相方のりんたろー。の反応について質問されると「嫉妬でおかしくなってます。(もともと写真集は)彼がやりたかったことで、彼は美容とかやっていますし。僕はあんまりそういうのに興味はなかったんですけど、とりあえず誕生日になんか出したいなと思ってやっただけなんです。だから今、ちょっと関係がギクシャクしてる」と苦笑い。

さらに「心が壊れないように見ていただければうれしいです。あなたの体型にマウントとってます!」と、りんたろー。を刺激するようなメッセージをわざと放って笑いを誘う場面も。

また、この写真集には明石家さんまをはじめ宮下草薙、四千頭身などの芸人仲間やMISIA、みちょぱなどの共演者、番組スタッフなど日頃親交の深い総勢68名からのメッセージが掲載されており、兼近大樹という人間の人望の厚さが窺い知れるのだが、兼近は「相方のりんたろー。さんのメッセージが一番短いんですよ」と不満をこぼした。

そんな自信作である写真集について「点数をつけるとしたら?」と問われると、兼近は「990点。TOEICだと満点です。足りないところはないです。パーフェクト」と自画自賛。

ところが、主催者の「どれくらい売れてほしいですか?」という質問には少々および腰で、「普通の写真集はどれくらい売れるんですか?」と逆質問。「10,000部で大ヒットです」と言われると「じゃ、12,000部で……」と、チャラくない堅実な願望を表明していた。

周りの芸人仲間に影響され結婚も意識

イベント終了後には独占インタビューも実現。

兼近は改めて「こういう写真集(芸人が真剣に作り込んだ写真集を出すこと)自体が大きな“ボケ”になっている。楽しんでもらう方法は人それぞれでいいので、ボケとして見ても面白いけど、ただの素敵な写真集として見ても最高――そんな二重構造になってるのが気に入ってます」と述べた。

また、この写真集には兼近が現在の心境を語るインタビューも掲載されており、これまでの彼とは異なる「変化」を見られるものになっている。特に恋愛や結婚観の変化は顕著で、以前は「結婚は絶対しない」と公言していたが、「いつか好きな人ができたら結婚したいって思う日が来るかもしれないな、とは思います」と言うまでになっているのが意外だった。

その理由を兼近は「最近周りの人たち、みんな子どもいるんですよ。いつも一緒にいるぺこぱの松陰寺(太勇)さん、ハナコの岡部(大)さんや菊田(竜大)さんとか。周りにいる人たちが子どもの話とヨメの話しかしないから、どこ行ってもその話題しか喋ることがなくて……趣味の話を話せる人がほとんどいなくなってくるんですよね。

同居人〔注:兼近は2人の同期芸人とルームシェアしている〕と3人で話すのもお笑いか、今後どうしていきたいかという話ばっかりだけど、僕以外の2人は結婚したいと考えてるんで、それにちょっと毒されてきた(笑)」と語る。

▲自身の心境の変化について語ってくれた

そうは言っても恋愛には相変わらず消極的で、当面は恋愛する予定はないらしい。「だってめんどくさいじゃないですか。疲れる。余分に考えなきゃいけないことが増えるし」と語り、「僕はまだ思春期なんで。絶賛思春期中!」と自虐的に笑う場面もあった。

普段は求められたことに応えていくのを心がけているため、自分の本音を語ることは少ないという兼近。「だからこそ、次は今の自分――等身大の自分で書けるエッセイを書きたいという気持ちがあります。本当の自分を表現できるのはエッセイなのかな」と展望を語ってくれた。日頃から「楽しかった話や面白かった出来事は常にメモしてある」とのこと。来年、33歳の誕生日企画にはそれを基にしたエッセイが出版されるかも……? 

▲今後の執筆作品にも注目だ

兼近が初めて等身大の自分の気持ちを吐露するときを楽しみに待ちたい。

(取材:美馬亜貴子)