パリオリンピックを決めた男子バスケットボールチームの興奮冷めやらぬなか、ラグビーのワールドカップが開幕した。9月8日からのW杯フランス大会、日本代表はプールDに入り、チリ・イングランド・サモア・アルゼンチンと対戦する。第2戦でイングランドに勝利すれば、予選プール突破が見えてくる。
ラグビー日本代表の現状と課題
4年前からジェイミー・ジョセフHC体制が続いている。ハイテンポなラグビースタイルはそのままだが、選手の入れ替えや、コロナ禍での試合不足などが影響している。今夏の試合では6戦してわずか1勝(※正式なテストマッチではない、オールブラックスXVとの2連戦含む)と苦戦し、世界ランキングは14位まで落ち込んでいる。
ただし、スクラムやタックルなどを代表合宿で集中的に強化し、新たな積み上げもある。また、新キャプテンとなった姫野和樹のリーダーシップも期待できる。
日本代表は今大会でワールドカップ優勝を目標に掲げているが、現実的にはまず前回大会に続いて予選プールを勝ち抜けるか。その突破のシナリオを探っていこう。
初戦の相手は世界ランキング22位のチリ。今回のワールドカップ予選で、北米の強豪であるアメリカやカナダを上回り初出場を決めた。チリの情報は少ないが、南米のチームらしく足技も絡め、テンポの速いラグビーを展開してくるだろう。
ワールドカップ初出場ということで、気合も十分のハズ。日本は真っ向から受け止め、最終戦でぶつかる同じ南米のアルゼンチンも意識して、差を見せつけたい。
日本代表の初戦となるチリとの試合は、9月10日(日)の20時からスタジアム・ド・トゥールーズで行われる。
「ラグビーの母国」から歴史的勝利をつかみたい
第2戦の相手は世界ランキング8位のイングランド。2019年の前回大会では決勝まで進出し準優勝を達成した「ラグビーの母国」。日本は過去10戦以上戦って勝利無し。かなりの格上に感じるが、今大会チャンスはある。
名将エディー・ジョーンズHCが昨年解任されてから、チームは調子を大きく崩している。直近のサマーネーションズシリーズでは1勝3敗でフィジーにも初めて負けた。さらに、主力にレッドカードが相次ぎ、余波でファレルは日本戦に出られない。怪我人も多いようだ。
まず、日本はフィジカルバトルで負けないことだ。相手のLOマロ・イトジェら強力FWを封じたい。そしてフィジーがやったように一瞬のDFの綻びをついて、得点を重ねられるか。現在の日本代表の両ウィングはフィジー出身で、スピードとスキルを持っている。歴史的勝利の伏線は揃っている。
イングランド戦は、9月18日(月)の朝4時から。早起きして応援したい!
第3戦の相手は世界ランキング12位のサモア。前回大会では38-19、前前回大会では26-5と、ワールドカップで2連勝している相手だ。
だが、楽に勝てるチームではない。代表資格のルール変更によって、元オールブラックスの大物であるスティーブン・ルアトゥアやリマ・ソポアンガなどが加入し、今回のサモアは大幅に戦力アップしているのだ。
直近のサマーネーションズシリーズでは世界ランキング1位のアイルランドに肉薄し、日本にも7月の戦いで勝っている。
サモアはアイルランド戦でソポアンガが高いキックを上げ、激しいタックルでボールを奪うという戦術を見せていた。日本は最後尾を守る松島幸太朗が狙われるはずだ。ハイボール処理がカギになる。
第3戦となるサモアとの試合は9月29日(金)の朝4時からだ。
そして、予選プール最終戦の相手は世界ランキング6位のアルゼンチンだ。2015年のワールドカップでは4位に入り、2020年には”オールブラックス”も倒すなど、実績を残している。世界ランキングからいっても、予選プール最強の相手となる。
強いスクラムとスキルフルなバックスを擁し、攻撃的なラグビーを展開する。タックルも激しく、スキが見当たらない。
難敵を倒すための最低条件はスクラムの安定。反則をとられてしまえば、一気にペースを握られてしまうだろう。日本のスクラムを最前線で支えるプロップ具智元の魂のプッシュを見たい。
ラグビーワールドカップのプールD最終戦、アルゼンチンとは10月8日(日)の20時からスタッド・ド・ラ・ ボージョワールで行われる。
決勝トーナメントにすすめるのは2チーム。第2戦のイングランド戦が天王山になるだろう。第1戦のチリに危なげなく勝利し、第2戦で歴史的勝利をつかむ。勢いそのままに第3戦でサモアも倒す。ここで3連勝できれば最終のアルゼンチン戦を落としても、3勝1敗で決勝トーナメントに進めることができる。
大会前にキャプテンの姫野や、これまで日本代表を支えてきたリーチ・マイケルがコメントしている通り、優勝を目指して頑張ってほしい。