豊島らしく本当にひたむきに真面目に

試合の話に戻ります。その後、豊島は延長戦で勝ち越されてしまいます。真昼のキックオフ。気温34度の酷暑。ベンチが少ないチームにはかなり苦しい展開であることは容易に想像できます。

しかし、ラストワンプレー。

CKから豊島は同点ゴールを決め、PK戦へ持ち込んだのです。

SNSに上がっているラストワンプレーの動画では、ゴールの瞬間、ベンチの大歓声と動画を撮影しているマネージャーの嗚咽が入っていました。

僕も、もちろん東横線の電車の中でボタボタと涙を流しています。

改めて確認しますが、僕は今の豊島生を1人も知りません。

これが現場にいたらと思うとゾッとします。おそらくSNSにはピッチに駆け込んでガッツポーズをする僕が見切れていたはずです。不審者のピッチ侵入。「また浦和サポか」となってしまいます。

最終的に豊島高校はPKで敗退してしまいました。

見に行けてないので推測でしか語れませんが、初出場の選手が多く、また出られない選手の思いを背負っているなか、2点のビハインドというのは精神的にも体力的にもかなり苦しい状況だったと思います。

下級生も出場していたはずです。真夏の試合は、夏を乗り越えた数が多い3年生が多いほど体力的に優位に立てます。それでも最後まで走り抜いたのだろう……と、その姿が浮かびます。

PKは4-5でした。満身創痍でよく4本決めたと思います。

豊島らしく本当にひたむきに、真面目に戦ったんだと思います。すごいよ。かっこいいよ。

▲高校サッカーは青春の1ページ イメージ:HIME&HINA / PIXTA

豊島高校に限らず、このくらいのレベルの高校でサッカーをしていた人は、競技サッカーは高校でやめる人が多いです。

サークルや社会人で週一、二回やる。それもいいと思います。

でも、体育会の大学サッカー、面白いですよ。早稲田大学の稲穂キッカーズのような体同連(体育同好会連合会)もいいですし。

特に今年の豊島は悔いが残ってしまった選手も多かったと思います。