芸人仲間からの手紙にグッときた

桑原 けどまぁ、発信するようになってほんまに変わりました。『M-1』頑張ってくださいとよく言われるようになりましたし、芸人さんにもネタ頑張ってんなとか、ネタの雰囲気が変わったなとか言われるようになって。

多田 さっきもヨシモト∞ホールの楽屋にマヂラブ(マヂカルラブリー)の村上君がいて。漫才衣裳を着てたからやと思うんですけど、「おっ、24時間漫才師ですか?」って。そんなふうにイジってもらえるくらい、今までとはイメージも変わってきてるんかなと思います。

桑原 皆さんが喜んでくれるので、自然と発信することに対しても前向きに目を向けるようになりました。例えば、ネットでイヤなことを書かれることってあるじゃないですか。前はけっこう気にしてたんですけど、今はこんなに応援してくれる人がいる。その人のためにやればいいという気持ちになってますね。前、手紙のね?(と言いながら多田に話すように促す)。

多田 なんやねん、このあと喋れよってこと?

桑原 うん。この話、自分で言うとグッときちゃうから……先月、僕の誕生日ライブがありまして。

多田 お前が喋るんかい! どういうつもり?……そう、誕生日ライブがありまして、GAGとかタモンズとか、よく一緒に仕事させてもらうメンバーが桑原への思いを手紙に書いてくれたんですよ。ボケる人もいましたけど、真剣な思いを伝えてくれるなかで、みんな『M-1』決勝に行ってほしいと。

元コマンダンテの安田(現安田くにひろ)は、コンビを解散したてということもあって「もしかしたら、僕たちにあったかもしれない未来を手に入れる可能性があるので頑張ってほしい」と、井下大活躍もコンビを解散してるので「15年間漫才師としてやってきたけど、もう漫才師としては生きていけなくなった」って。

桑原 もう漫才することないんで、ってな?

多田 ほんまに感動的で。みんなが泣いてるのを見て桑原もグッときて。

桑原 (静かに頷きながら)頑張らなあかんとほんまに思った。期待してくれてる人がいることが原動力になってます。

――現在、交流漫才ライブの真っ只中ですが(インタビューは8月上旬に敢行)、確かにトットさんに対して他事務所の芸人さんと交流しているイメージはなかったです。

桑原 自分らからやろうとはあまり言わないタイプというか。特に多田さんは迷惑かかることはせんでいいんじゃい! みたいなタイプなので、誰かをライブに呼ぶことに前向きじゃなかったんです。僕から見ると“かっこつけてんな”って感じなんですけど。

多田 そんなつもりはないんです。みんな忙しいやろうし、先輩から言われると向こうの選択肢として“やります”しかないじゃないですか。断りたくても断りづらいやろうなと思っちゃってたんです。

桑原 やけど、今回は思い切ってやってみることになって。カナメストーンは喜んでくれてたよな?

多田 うれしいですって言うてくれたし、僕もめっちゃ楽しかったです。

桑原 ライブも緊張感があって新鮮でした。……って、僕らが勝手に緊張してただけなんですけど(笑)、こういう反応があるならもっとこうできるなとか、ここは丁寧にやったほうがいいねんなとか気づきもありましたね。

トットさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2023年10月号』に全文掲載されています。