『ファンファーレ』は皆さんの背中を押せる映画
――外原さんが出演する映画『ファンファーレ』が11月17日に公開されますね。アイドルグループを題材に、20代の女性の心情や葛藤を描いた作品です。
外原 完成した映画を母と見たんですけど、見終わったあと「実在している子の人生を覗き見しているような気持ちになるね」と話しました。すごくリアルで、食い入るように見ているうちに気づいたら終わっていました。そして、何度も見たいと思いました。何回も見るうちに解釈が変わってくるような気がするし、見る人によっても解釈が違うんだろうな、と。
アイドルが題材の映画というと、キラキラしたイメージを持つかもしれません。もちろん、アイドルらしくぶつかり合うシーンや明るく楽しいシーンもありますけど、映像としてはとても現実味があって、深みのある作品だと思いました。
――外原さんが演じた尾関あずさは、独特の雰囲気をまとった子ですよね。
外原 はい。つかめない子というか、ミステリアスな雰囲気の役でした。ただ、演じるうえでそれを意識しすぎると、無表情になりセリフも棒読みになっちゃって。そこは監督にも指摘されましたし、難しいポイントでした。
――吉野竜平監督からは、どのような指示やアドバイスがありましたか?
外原 ちょっとした目の動きで感情の変化を表してほしい、というのは言われました。そもそも私にとって、上京後に映画でちゃんとした役をいただくのが今回が初めてだったんです。だから、撮影の段取りも全然わかっていなくて。カットがかかる前に喋っちゃったり、カットがかかっていないのに帰ってきちゃったり(笑)。そのあたりは監督に優しく教えていただきました。
――外原さんはオーディションでこの役を射止めたそうですね。
外原 そうです。ただ、もともと吉野監督とは『ファンファーレ』のオーディション以前に、事務所のワークショップでお世話になっていたんです。そのときに「次はワークショップではなく吉野監督の作品でご一緒できるように、もっと頑張ります」とお伝えしたんですけど、その1か月後にこの作品に出られることが決まったので「まさかこんなに早く叶うなんて!」とうれしかったです。
――劇中ではアイドルとしてパフォーマンスをするシーンもありますが、歌やダンスは得意だったんですか?
外原 いやいや、みんなについて行くのに必死でした! 地元ではミュージカルスクールに通っていたので、ダンスはまだ踊れたんですけど、歌はもう全然……(苦笑)。とても人様の前で披露できるレベルではないけれど、私なりに頑張ったつもりです。そして撮影が進むうちに、アイドルグループ「ファンファーレ」として、みんなの気持ちが一つになっていって。最後は「私、アイドルになれた!」という感覚になりました! とても優しく温かい現場でした。
――では改めて、映画『ファンファーレ』の見どころを教えてください。
外原 この作品は、夢を諦める女の子のお話です。夢が叶うわけではないので、決してハッピーな物語ではないかもしれませんが、だからといって、そこで人生が終わるわけではないんですよね。人生は長いし、新しくやりたいことが見つかれば、それを目指せばいい。夢や目標を持っている皆さんの背中を押せる作品だと思うので、ぜひたくさんの方に見ていただきたいです。
――外原さん自身も、背中を押されましたか?
外原 はい。私、一時期オーディションに落ち続けて「自分には存在価値がないんじゃないか」と、すごく落ち込んでしまったことがあったんです。だけど、この作品を通して「これを諦めても次がある」と思うことができて。今は「楽しもう」という気持ちで、お仕事に取り組むことができています。本当にこの作品に出られてよかったです!
――最後に、外原さんが今描いている夢について教えてください。
外原 私の夢は、日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を取ることです。「いろんな作品に出たい、たくさんお仕事がしたい」という思いだったり、目標にしていることはいっぱいありますけど、人生で一番最大の夢はアカデミー賞。役者として認めていただくことが、お世話になっている皆さんへの最大の恩返しだと思っています。
――その夢を目指し、着実にステップアップしていきたいということですね。
外原 はい。そして、有村架純さん、奈緒さんとお会いして共演したいです。また、私が鹿児島で通っていたミュージカルスクールの出身者である上白石萌音さん、上白石萌歌さん、宮脇咲良さんにもいつかお会いして「私、後輩なんです」とお伝えしたいです!
『ファンファーレ』