漫才頂上決戦『M-1グランプリ 2023』の王者が12月24日に決まる。毎年、その予選から新たな才能が彗星のごとく現れ、世間の耳目を集めているが、今年の大会でお笑いファンの話題となったのは、今年3月に結成されたばかりの男女コンビ「レンタル彼女」だ。

コンビ名と同じく「レンタル彼女」という題を冠した二人のネタは、今年結成したばかりのコンビとは思えないクオリティ。さっそくニュースクランチ編集部が、お笑い界のニュースターとして注目される二人にインタビュー。これまでの足跡と、これからの展望について話してもらった。

▲レンタル彼女(弘灰桂輔 / 古瀬リナオ)【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

コンビ結成のキッカケは「品川親不知」での出会い

――古瀬さん、弘灰(こうはい)さん、今回がレンタル彼女にとって初のインタビューとのことで光栄です。

古瀬リナオ(以下、古瀬) こちらこそ、ありがとうございます! 私は以前から役者をやっているので(「劇団あはひ」に所属)、その活動についての取材は受けたことがあったのですが、芸人としては初めてです。

弘灰桂輔(以下、弘灰) 僕は完全に人生初のインタビューです……緊張します。

古瀬 じつはここへ来て、まだ迷っていて。というのも、私たちって漫才のネタでレンタル彼女の設定をやっているので、インタビューも(恋人代行サービスの)レンタル彼女としてのキャラを突き通したほうがいいのかな?って。でも、事前にいただいてた質問案がマジメな内容だったので、やっぱり素のままお話させていただいたほうがいいんですかね……。

――話の流れで“レンタル彼女”になっていただいてもかまいませんよ(笑)。まずはコンビ結成の経緯から教えてください。

弘灰 高校から仲良くしている山田遊という友人がいて、彼が大学時代から演劇をやっていたんですよ。僕が社会人になったばかりのとき、彼が立ち上げた劇団「品川親不知」の公演を見に行ったら、これが本当におもしろくて。

ストレートな演劇というよりは、コントなんかもやるコメディよりの劇団なんですよ。その日の夜、山田の家に泊まりに行って、入団させてくれって懇願して。僕、当時は大阪に転勤していたんですけど、そこはどうにかするから、頼む!って必死で(笑)。それで劇団に入れてもらえることになったのですが、僕がそこに参加する前から、山田の作品によく出演していたのが、古瀬さんだったんです。

古瀬 弘灰さんのことは山田さんからよく聞いていたのですが、実際に初めて顔を合わせたのは去年10月のコントライブで共演したときでした。その後、今年の春にまた「品川親不知」でコントライブをやることになり、そこでコンビを組むことになって。

弘灰 僕が一部のネタ作りを担当することになったものの、「コントライブ」なのに漫才の台本を書いてしまったんです(笑)。それが「レンタル彼女ネタ」だったのですが、うれしいことにお客さんからも好評をいただきまして。二人ともすごく気を良くして、コンビ名も「レンタル彼女」にして、このまま『M-1』に出ちゃおう! という話になったんです。

▲「コントライブ」なのに漫才の台本を書いてしまったんです(笑)

「レンタル彼女」でバズり結果にもつながった

――初めてのネタでウケたら、うれしくなっちゃいますよね。弘灰さんはコントよりも漫才のほうが書きやすかったんでしょうか。

弘灰 そうみたいです。途中まで「コントネタを書こう」と頑張っていたんですが、なかなか筆が進まず、締切が迫ってきてしまって。「品川親不知」の前座として、山田と漫才をやっていたことがあったので、“漫才を書いてみたらどうだろう?”と思ってやってみたら、なんとか仕上げられたんですよ。

――急に「漫才をやります」と言われて、すぐ対応できた古瀬さんもすごいですね。漫才の場合、演劇ともコントとも“間”が違うのではないかと思うのですが。

古瀬 私、もともとお笑いが大好きで、じつは大学時代にお笑いサークルに所属していたんですよ(慶應義塾大学「お笑い道場O-keis」)。なので、その頃にコントに漫才、ピンネタも一通り経験していて。

――そういうことだったんですね! 話を戻すと、コントライブでウケたその勢いのまま『M-1』に挑戦した結果、1次予選を見事3位で通過。『M-1』公式YouTubeチャンネルでもネタ動画が配信されましたね。

弘灰 飛び上がるほど喜びました! そもそもコンビ名とネタ名を共通にしたのも、YouTubeのコメント欄で「レンタル彼女ってネタをやってるレンタル彼女ってコンビがいるぞ」と盛り上がってほしいという狙いがあったので(笑)。無事に動画が公開されてよかったです。

古瀬 『M-1』の反響って本当にすごいですね。出場したことは、あまり周りに伝えていなかったんですけど、お笑い好きの友人がチェックしてくれいて「見たよ!」と言ってくれました。

――2回戦で惜しくも敗退となりましたが、初出場のコンビとしては華々しい結果だったのではないかと思います。1回戦のネタ終わりに、レンタル彼女役の古瀬さんが「漫才コース5000円です、延長は?」と言い、客役の弘灰さんが「2回戦もお願いします」と返すのが粋でした! そのあと、古瀬さんが会場のお客さんに向かってではなく、“顧客”の弘灰さんへ「ありがとうございましたー」と言って締めるのも巧みだなって。

弘灰 漫才としてではなく、あくまで「レンタル彼女」の役柄としてサービスを終了する流れにしようということで。古瀬さんが去りながら「ありがとうございましたー」と言う部分は古瀬さんが考えてくれたんです。

古瀬 弘灰さんがLINEでネタを送ってきてくれるのですが、その文面だけでもやりたいことがはっきりと伝わってきて理解しやすいので、アイデアを出しやすいんですよ。

弘灰 こっちとしても、彼女は役者なのでホンに対する読解力があるし、それを体現するだけの表現力もあるので、すごく助かっていますね。