オタ活での出会いが仕事につながった

――待望のオタク活動はいかがでしたか?

ヒグチ:いま思えば、それが転機になっているのかもしれないですね。やっぱり、いろんな出会いがあるんですよ。いろんな職業の人が集まってくるので、今まで関わってこなかった人と触れ合って、いろんな話をすることができたんです。世の中は広いですね。

そんなときに出会ったのが、中野ブロードウェイにお店を構える「中野ロープウェイ」の伊藤さん。彼とは一緒にバンドをやったり、サウナに行ったりと仲良くさせてもらっていたんです。あるとき、サウナで「人生一度きりだから好きなことをやったほうがいいよ」と言われ、その言葉を間に受けてしまったわけです。

――中野ロープウェイの伊藤さんとの出会いが大きな転機だった。

ヒグチ:考え方を180度変えられました、“そういう感じでいいんだ!”って。ポジティブなのかネガティブなのか、うまく言葉にはできないんですけど、伊藤さんの考え方ってすごいんです。良い意味でイカれてる(笑)。それにめちゃくちゃ影響されちゃいました。

「お前は服に詳しいから古着屋をやればいいんだよ」と言われて、“そっか!”って。すぐに「今、タイは古着がめちゃくちゃ安いから」って、伊藤さんと一緒に買い付けに行ったんです。そしたら、全然安くなくて(笑)、安かったのは5〜6年前くらいの話だったんですよ……。

――そこで気持ちが揺らいだりは?

ヒグチ:話が違うなと思ったけど、古着屋をやる心づもりでしたから(笑)。タイに行ってみて思ったのは、おもしろい服や雑貨がたくさんあって、そこに古着を合わせたらおもしろいかなと。そこから本格的に始動していきました。

――吊り橋ピュンのコンセプトは、タイに行ってから生まれたものなんですか?

ヒグチ:うーん、最初はもっと小物雑貨系のグッズもあったんですけど、途中からタレントもののアイテムに特化し始めた感じですかね。そういうアイテムがウケ始めたこともあって強化していきました。

▲店内に所狭しと並ぶアイテムは圧巻だ!

海外での買付けはボディランゲージでOK

――最初はどのようなお店を展開されようと思っていたんですか?

ヒグチ:バンドTシャツ、バンドものを多く展開していこうかなという感じだったんですけど、影響されやすい性分でもあるので、他のお店の人と友達になったりすると、“こういうのもいいな”と思い始めたり(笑)。そういった感じで微妙に変化していきました。

――それで唯一無二のお店になっているんですね。ここまでタレントもののブート品だったり、懐かしいアニメのグッズを売っているお店って少ないと思います。

ヒグチ:たしかに、こういうアイテムって最近は高騰してきてますよね。ただ、自分があまり他のお店に行ったりしないからなんとも言えないんですが、自分の好きなものを集めたらこうなってしまったという節もあるんです。好きなカルチャーを集めたらこうなった。

▲ヒグチさんの“好き”に埋め尽くされた「吊り橋ピュン」

――買い付けの仕方は実践から学ばれていったんですか?

ヒグチ:僕は英語もタイ語も話せないので、ほとんど伊藤さんに任せきりなんですけど……。でも、値段交渉などは電卓を叩いて「OK?」「サンキュー」みたいな、意外とボディランゲージでいけますよ。ノリと勢いでやっている感じです。これまでこういう仕事をしたことがなかったし、ノウハウも全くなく、本当によくわからん感じでやってます。