レシピは1日に必要なタンパク質や野菜量を意識

彼女がInstagramで発信している“おかずスープ”は、栄養満点で簡単に作れるものばかり。昨年の12月に出した『からだリセットスープ』(小社刊)を、どんな方に読んでほしいかを聞いた。

「この本のターゲットは、まず一人暮らしで忙しくしている方です。料理する時間はあまりとれないけれど、“健康やダイエットに興味があって、できるだけ自炊して食べたい”という方に向けて作りました。

スープだけで栄養をとるのは難しいと思われがちなんですけど、そんなことはなくて。肉も魚も野菜も卵も豆腐もなんでも合わせられるので、簡単においしく栄養バランスをとることができます。冷蔵庫にあるもの、残っているものを活用できるのもうれしいところ。そんなスープの魅力を多くの人に伝えられるといいなと考えています」

肉も入れられて、魚も入れられて、野菜も入れられて、しかも簡単で栄養たっぷり。それが、おかずスープの大きな魅力だ。

「女性が1日に必要なタンパク質の量って、だいたい50〜60gと言われているんです。このスープレシピのターゲットは、主に女性がメインなんですけど、おかずスープは1食で20g以上のタンパク質が必ず取れるようになっています。また、野菜量は1日350g以上の摂取が推奨されているんですけど、そこも必ず100g以上は取れるように作りました」

1日に必要なタンパク質や野菜の量を意識して作った自信の57レシピが収録されている。もっとも思い入れのあるレシピを聞いた。

「どれもおすすめではあるのですが……表紙になっている“おかゆ”は体調を崩しているときや、ちょっと食欲がないときに試していただきたい一押しのレシピです。野菜とサラダチキンが入っていて、胃腸が弱っているときでも栄養をたっぷりとれます。Instagramに投稿したときにも、特に多くの方に見てもらえた人気のレシピなんです」

▲チキンと野菜の具だくさんおかゆ

レシピ本やInstagramを見ると、かなりの量のスープレシピ考案していることがわかる。レシピを作るうえで大切にしていること、基準にしていることについて聞いてみた。

「まずは、なによりも栄養面を大切にしています。タンパク質と野菜がしっかり取れるかがポイントですね。あとは、一人暮らしの方にも作ってもらえるように、冷凍野菜や冷凍肉など、1回分ずつ使用できる食材を使用したり、スーパーで買える食材で作れるようにしたり、なるべく食材ロスがないように心がけています」

ズボラな人でもできるよ! と伝えたい

出産後、実際にスープダイエットに成功した経験を発信している彼女。ダイエット中に意識していたことを聞いてみた。

「私は食べることが好きなので、食べないダイエットとか、たくさん運動するダイエットは続かなかったのですが、これは食事をスープメインにするだけだったので、苦労はあまりなかったです。野菜中心にする、タンパク質をしっかり取ることは意識していました。

自分の体で体験したことじゃないと相手に伝えられないと思っているので、日ごろから食生活に気をつけています。気になるダイエット法や健康法があれば、まず自分で試しますし、最新情報に広く目を向けることを意識しています。そして、まず自分の体で体験し、そのうえで本当に良かったと思ったら、皆さんに伝えるようにしています。やっぱり、実体験がないと説得力もないと思うので。

レシピ作りについては、試作を重ねることはもちろんですが、やっぱりおいしくないと食べていただけないので、味のバランスを意識しています。香りのあるハーブや柑橘系のものを入れるなどして、五感で感じられるようなスープを発信するように気をつけていますね」

管理栄養士として働き、食べることが好きな彼女だが、じつは料理があんまり好きではないのだそう。

「食べることは好きなんですけど、作るのはちょっとめんどくさいなって(笑)。だから簡単なスープを作っているところもあるんです。ちょっと苦手意識があるからこそ、料理のハードルを下げられるようなレシピを伝えたい。私自身がすごくズボラなので、ズボラな人でもできるよ!っていう、親近感が湧くような発信していきたいです」

レシピ本の出版、SNSでの発信などの活動をしている彼女に、今後やってみたいことや力を入れたいことを聞いた。

レシピ本なんて料理家さんじゃないと出せないと思っていましたし、私が本を出していいんだって、自分自身でもびっくりしました。“すごいね”と言われると自信にもなりますし、期待に応えられるようなレシピをもっと伝えていきたいという気持ちになります。

本を読んでくれた方が“こんなに簡単においしいスープができるなんて思わなかった!”とか“スープをメインにしていいんだね!”とか、気づきを教えてくれるのがとてもうれしいです。

多くの方にフォローしてもらい、応援していただいていることで毎日投稿ができているので、今後は応援してくださっている方々とお会いできる場を設けたいです。講演会とか、スープ料理教室とか……。あとは、管理栄養士として、普段の食事に悩まれている方の食事相談にも力を入れていきたいです」

(取材:萌映)


プロフィール
 
りの
北海道出身、福岡県在住。小学生の頃、難病であるIgA腎症を患ったことをきっかけに食生活の大切さを実感し、管理栄養士の夢を持つ。大学で栄養学を学び、卒業後に管理栄養士国家資格取得。保育園、病院で勤務したのち、独立。出産を機にスープダイエットを始め、20kgの減量に成功。SNSに投稿した、栄養たっぷりで手軽に作れるスープレシピが話題となり、Instagramのフォロワーは現在11万人を超える。Instagram:@rino_soup