ノートに書きだして「ストレスを整理」してみよう

思考パターンを変えてみる

腸の不調を訴える患者さんのなかには、神経質だったりネガティブだったり、「こうでなければいけない」という考えを持つ人など、ストレスを抱え込みやすい人が多くいます。そのメンタルの問題が症状の悪化に影響しているのかもしれません。

「こうでなければいけない」にとらわれず、ゆったりとした気持ちで過ごす方法を模索してみてください。そして、自分の思考パターンが、自分の人生の方向性を形づくっているということを、ぜひ認識していただきたいと思います。

例えば、このように考える人がいます。「最近いいことが続いたから、今度は絶対、何か悪いことが起こりそうな気がする」「あんなステキな人と私が仲良くなれるわけがない」「私は年上の上司に嫌われやすい」

しかし、これらは本人がそう思い込むことによって、知らず識らずのうちに「そうなるような行動」へと自らを誘導してしまっているにすぎません。心身の健康のためにも、こうしたネガティブな思考パターンを断ち切ることをおすすめします。

思考パターンを変えるためのポイントとしては、前向きではない考え、否定的な考えをとりあえずやめてみることです。

例えば「あの人は私のことを悪く思っているのでは……」と勝手に推測するのをやめてください。「私が〇〇しないと、みんなから嫌われるのでは……」など、考えても仕方がないことを深く考えないようにしてください。

ノートに自分のこれまでの気持ちや、これからの希望を素直に書き込んでみるのも有効です。書くこと自体がストレス解消にもなるのですが、自分の思考を視覚化してすることで、それまでの自分の思考パターンを変えるいろいろな「気づき」を得られます。

悩みはひとりで抱え込まず、信頼できる第三者や公的な機関に相談することも大切です。悩みごとを自分の頭のなかだけでこねくり回していても、いい結果に結びつくことはあまりありません。それよりは一度、それを他人の頭を通して眺めることで、自分にはまったくなかった発想で、そのストレスに対処できるようになるかもしれません。

ネガティブな思考の方は自分ひとりで悩みを抱え込む傾向にあるので、誰かを頼ることも忘れないようにしてください。

▲ノートに書きだして「ストレスを整理」してみよう イメージ:yosan / PIXTA

ストレスの原因と向き合う

とても勇気がいることかもしれませんが、時には「ストレスの原因」と直接対決するとも大事です。まず、自分が感じているストレスを整理してみましょう。メモ帳などに、次のようなことを書き出してみます。

  1. 自分にとって、いま何がツラいのか?
  2. それに対して自分はどうしたいのか?
  3. 現実的な解決策は何か?

例えば、苦手な人がいた場合、「その人のどんなところを苦手に感じるのか」「どんな振る舞いが自分をツラくさせているのか」「それをなくすにはどうすればいいのか」を書き出してみます。

その人が会社の上司なら、配置換えを希望する、他の部署の上司に相談する、同僚に意見を聞いてみる、社内外の相談窓口を利用する、するなど、具体的に考えられる限りの選択肢を挙げていきましょう。

そうすることで、問題点があらためて浮き彫りになり、自分の今後の課題が見えてくるはずです。そして、自分が一番いいと思った解決策を、実際に実行してみましょう。たとえ思ったような改善が見られなかったとしても、まったく落ち込むことはありません。「私はこの経験から学ぶことができた」と前向きに考える強さを持ってください。

ストレスは必ずしも悪い影響ばかりではなく、うまく付き合うことができれば心に適度な緊張感を与え、人間を鍛えてくれるものでもあります。その都度、対処していきながら、無理せず、ほどほどに付き合っていきましょう。