黒目の動きで相手の脳内イメージがわかる、ということは広く知られています。つまり、脳内の思考は表情や体と直結しているのです。相手の混在意識(本能)が動作から表れているとしたら、それをあなたは見抜けていますか? ビジネス心理研究家の神岡真司氏に、ビジネスシーンや対人関係に役立つ知識を紹介してもらいました。
※本記事は、神岡真司:著『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
「会いたい人」には表情も動作も開放的になる
人は誰でも「この相手は、本音ではどうなんだろう?」などの社交辞令に隠された真意を知りたくなったり、「あのとき相手の心が読めていれば、もう少しやり方を変えられたのに……」などと後悔することがあるものです。
人には、「オモテの顔」と「ウラの顔」があるのですから、当然なことでもあります。「顔の表情」「しぐさ」「身振り手振り」「口癖」「言動の傾向」「服装」……などなど、いろいろな局面から、人の心を読み取るコツを覚えておきたいものです。
人は、興味のあるもの、好きなモノに接したときには、瞳孔が開くことが知られています。このとき、瞳孔だけでなく、眉がやや上がり、目を見開くような感じになることが多いのです。瞳孔の拡大は小さすぎてわかりにくいので、目や眉に注目すればよいでしょう。
会いたかった人に遭遇したときには、うれしくて、目を大きく開き、眉が上がります。また、両方の手のひらも相手のほうに向けられる形で、指と指の間が開いて解放された感じになることも多いでしょう。
相手と相対したときに、相手の人が、あなたを歓迎する人なのか、そうでもない人なのか、この出会いの一瞬で相手の心がわかるのです。ということは、あなたが誰かに会うときにも、自分の顔の表情に気をつけないと、相手の潜在意識(本能)の記憶に、あなたの出会いの印象が瞬時に刻まれるわけです。
それによって「とても感じのよい人」とか、「何か自分に警戒心をもっている人」などの印象が、潜在意識の奥底に深く沈んでしまうと思ったほうがよいのです。
黒目の動き方で「真実」が見極められる
ところで、顔のなかでも、黒目の動きひとつで脳内イメージがわかる、という研究が昔から盛んです。たとえば、相手と向き合った状態で、相手の黒目がどう動くかで、脳内の思考メカニズムが現れるとされているのです。
「昨日の夜は何を食べましたか?」と尋ねたときに、向かい合った相手の目が、こちらから見て、右方面に動いた場合は「過去の記憶」を辿っています。しかし、左方向に動いた場合は「創像している」というのです。
つまり、左方向に動いたら、正直に「カレーライス」を食べたと言わずに、「昨日はしゃぶしゃぶを食べました」など、ウソの答えを創りだしている可能性が高いのです.。人によっては、この目の動きが、左右で逆になっている場合もありますから、どちらに動くのかを、事前に確認しておくとよいでしょう。
親しい間柄の人なら、相手に「過去の質問」をしたり、「未来の質問」をすることで、目がどちら方向に動くかを観察できます。その傾向をつかんでおくことで、いざというときの質問で、相手の本音がつかめます。
たとえば、妻が夫に「あなた、昨晩は残業だと言ってたけど、本当は浮気してたんじゃないの?」などの夫がギクリとするような質問をすると、「いや、10時まで残業だよ。ま、ちょっと帰りに軽く一杯ひっかけたけど……」など、うろたえて答えるときに「過去の記憶」を辿る方向でなく、「創像している」方向に黒目が動いたら怪しいと考えてよいでしょう。
何かを隠したがっていることが窺え、何らかのウソの答えを探っている可能性が高いからです。「創像している」という左方向に黒目が移動したら、「ふーむ、どうも残業はウソらしいな」などと見当がつくわけです。
目の動きについては、さらに細かい分類もあります。向かい合った相手の黒目が、左上方向の場合は「視覚的な創像」、左に水平に動く場合は「聴覚的な創像」、左下方向の場合は「嗅覚や触覚、味覚などによる体感的な創像」とされており、右上方向の場合は「視覚的な記憶」、右に水平移動の場合は「聴覚的な記憶」、右下方向の場合は「記憶による思索」を辿っているとされています。
もちろん、これが逆の場合の人もいるのです。目は口ほどにものをいうということでしょうか。