4月20日・21日に開催された『島ぜんぶでお~きな祭 第16回沖縄国際映画祭』で、2025年公開の映画『かなさんどー』の制作発表が行われ、監督を務めるガレッジセールのゴリこと照屋年之、出演する浅野忠信、堀内敬子、松田るか、 Kジャージ、民謡歌手の前川守賢、制作総指揮を務める福田淳が登壇した。
浅野「歌を聞いてるだけで泣きそうになる」
2018年に制作した照屋監督作『洗骨』は、モスクワ国際映画祭や上海国際映画祭など各国の映画祭に出品され、日本映画監督協会新人賞をはじめとする映画賞を多数受賞している。そんな照屋監督の6年ぶり⻑編最新作である映画『かなさんどー』は、最愛の母を亡くした娘の美花と、その父の悟と再生を丁寧に描いてた作品だ。
主人公の赤嶺美花役は『仮面ライダーエグゼイド』のヒロイン役、ドラマ『賭ケグルイ』でも演技が原作の再現度が高いと話題となり、その後、NHK朝ドラからミュージカルまで幅広く活躍している松田るか。
美花の母親・赤嶺町子役は、ドラマ・映画、舞台など数多くの作品に出演する名バイプレイヤーの堀内敬子。妻の死を受け入れずにいる美花の父親・赤嶺悟役に、国内外のさまざまな作品に出演し、現在配信中の『SHOGUN』(ディズニープラス)でも話題となっている名優・浅野忠信が務めている。
製作発表会では、キャストの登壇前にMCのガレッジセール川田から、本作がトロント日本映画祭への出品が決定したことが発表され、会場は大きな拍手に包まれた。
MCの呼び込みによりステージにキャストの面々が登壇すると、照屋は「出身地、ホームでのイベントのはずなのに、自分一人のときと盛り上がりが違う!」とクレーム、場内は爆笑。
同作が制作された経緯については「コロナの時期、映画が撮れなくて苦しい時期のなか、プロデューサーの福田さんが『洗骨』に感銘を受けたから制作費を出すよ、と言ってくれたのがきっかけでした」と説明。ただ、福田と初対面では「福田さん、このビジュアルで喋り方も軽いから、絶対にIT詐欺とかやってる人だと思った(笑)」と笑いながら明かした。
「脚本が良かったんで出ます」と出演を決めた浅野。完成した作品を見た感想を「台本を読んで、演じて、知っているつもりだったけど、出来上がりを見たときに、もうなんか……なんとも言えない気持ちになりました。一番は、美花役の松田さんに本当に助けられてるんだなっていうのを実感したこと。最後はすごく切ない気持ちになり、とても感動しました」とコメント。
スタッフ全員がファンになってしまうほど可愛らしい、そのように照屋から紹介された堀内は「私は、自分が出た作品を“もっとこうすればよかった”とか反省の目線で見るタイプなんですけど、それでもバーっと出てくる涙を抑えられなかったです。みんなで一生懸命作った、愛あふれる作品です、公開まで少しありますが、劇場に足を運んでくれれば」とコメント。
松田を主演に決めた理由を「演技がうまい方というのはわかっていたし、沖縄が舞台なので、沖縄の方で」と語った照屋。松田は「プレッシャーがすごかったのは事実なんですけど、監督が“時間をかけていいよ”と言ってくださって、寄り添って撮ってくださったので、肩の荷が下りて、のびのびとやらせていただきました」と笑顔を見せた。
さらに「とにかく伝えたいことがたくさん出てくる映画。身近な人に愛しているよ、と伝えたくなる映画なので、見終わったあとはそうやって伝えてほしい」と話した。
照屋監督の魅力について聞かれると、浅野は「出る側の人でもあるから、我々の細かな心情も理解して現場でも気を使ってくれるし、役になるためのエネルギーもサポートしてくれる」と絶賛。しかし「僕が勝手で海で泳いだりして……」というエピソードを打ち明けると、照屋監督は爆笑。
「大迷惑でしたよ! 病気している役なのに海で日焼けしているんだから!」とツッコミ、浅野は反省しきりの様子。
制作発表の最後は、前川が主題歌の『かなさんどー』を披露。三線の音と前川の声に、出演者も観客も、じっくりと聴き入った。浅野は「歌を聞いてるだけで泣きそうになる、それくらい曲と“かなさんどー”って言葉が染み込んでる。映画を見た人にもそれが伝わると思うので、楽しみにしてください」と話した。
最後に照屋監督は「愛の形っていろいろある。最終的に迎える愛の形、人を想い続けることの1つのパターンがこういうことなのかと思った。そして、人には許せないことがあると思う。それを一生許さないのか、どこかで許したいけど機会がなかったのか、その許しはどこで解消できるのか、というのを表現してみた」と語った。
映画『かなさんどー』は2025年新春沖縄先⾏、全国順次公開予定。
〇映画『かなさんどー』特報映像|2025年新春沖縄先行、全国順次公開予定!
〇第16回 沖縄国際映画祭 島ぜんぶでお~きな祭2024