すがやの心を躍らせた2008トルコ代表

欧州サッカーも各国リーグ王者が決まり、残るはCLのファイナルのみとなりました。これが終われば、すぐに代表チームによる国際大会、欧州選手権(EURO)やコパアメリカが開催されます。

選手の負担は凄まじいですね。どちらも出る選手は少ないと思いますが、そのあとにはパリオリンピックも控えています。

とはいえ、ヨーロッパのシーズンの真っ只中に離脱して出場するアジアカップや、アフリカネーションズカップのスケジューリングも選手的にはどうなの…? という感じですが。

さて、今日はもうすぐ開幕する欧州選手権で、過去に印象に残ったチームのお話をします。劇的な奇跡の快進撃をした伝説のチーム、EURO2008のトルコ代表です!!

僕はトルコのエムレやニハトが好きで、ウイイレで獲得すると果てしなく成長してくれたアルダ・トゥランの現実のプレーも初めて見られるということで、この大会はトルコを追っていました。(アルダ・トゥランがあんなヤバい人だとは、この当時、知る由もない……)

さて、このトルコ代表、前評判としてはグループリーグの四番手。そして戦前の予想通り、初戦のポルトガル戦を0-2で落とします。ここから、まさかあんな展開が待っているなんて、これまた知る由もないすがや。

第2戦の相手は開催国スイス。しかも、スイスも初戦を落として後がない。かなりの逆境です。僕の好きなエムレは、初戦で負傷して欠場。当時、最後の高校選手権や大学入試を控えてる高校3年生である状況を考えると、全然寝ていいレベルで渋い試合です。

しかし、何かが起こりそうな予感がしたんです。なんせこの2チーム、直近のワールドカップ予選のプレーオフで激突。試合はスイスが勝利したものの、挑発があったとかなかったとかで、試合後に大乱闘をした因縁のカードなのです。

そんな試合は、とんでもない豪雨でパスもつながらないなかで、スイスが先制点を決めます。余談ですが、得点を決めたのはトルコ系スイス人のハカン・ヤキン。ゴールセレブレーションも自粛しておりました。

ちなみに、僕が夜勤に行くときに使う「ハカン夜勤」というギャグの元ネタの人です。仮眠スキー(元ジュビロのGK・カミンスキー)と合わせ技で使います。

すみません。アルパイがいたら絞められてもおかしくないくらい、しょうもないこと言ってしまいました(アルパイは元トルコ代表で、浦和レッズ時代に開幕戦で鈴木隆行選手の顎を掴んで退場。復帰戦でボトルを蹴り上げて退場という、これまた記憶に残る選手。ちなみに、前述の大乱闘でもアルパイは先陣を切って相手コーチの膝裏を蹴っていた。そして引退後プロレスラーになった)。

試合はトルコが後半に同点に追いつくと、終了間際の90分。最後まで運動量が落ちないアルダが放ったシュートが、相手に当たってゴールへ吸い込まれました。綺麗ではないけど、値千金の逆転ゴールで勝利を収めました。

名手チェフの牙城を崩す!

そして最終節の相手はチェコ。以前にコラムで書きましたが、2000年代のチェコは僕の青春のチームです。

このときには、もうネドベドはいませんが、好選手が揃い、20歳くらいで世界の3本の指に入ると言われ、GKながらに頭蓋骨陥没骨折の大怪我を負い、ヘッドギアをつけて帰ってきた名手・チェフがいました。

この試合、トルコのかなり激しめな守備に対し、前評判の高いチェコは2点を先制。またしても逆境です。……が、この大会のトルコは土俵際で本当に強かった。

75分にアルダが決めて1点差! アルダは走れて技術でも違いが作れるスーパープレーヤー。本当に才能がもったいない(のちに脱税、クラブで喧嘩、相手の病院に乗り込んで発砲、それぞれ罰金や禁錮。その後、投資詐欺に遭って約21億を失う)。

そして迎えた87分。シンプルなクロスをチェフがまさかのファンブル。こぼれ球をトルコのキャプテン・ニハトが押し込みました。

ファンブルなんて本当にしない人だっただけに、神はまだチェフに苦しみを与えるのか……と、世界中のサッカーファンが悲しくなる失点です。

しかし、これでもまだ同点。試合時間は残り3分ですが、得失点など全ての数字で並ぶため、このまま終わるとGLながらPK戦にもつれるという状況です。

しかし2分後の89分。抜け出したニハトが、文句のつけようのないシュートをゴール右上に流し込み、ついに勝ち越しました!

その後もタダでは終わらないトルコ。気性の荒さはもはや伝統。GKのボルカンが報復行為によりレッドカードで一発退場。交代枠を使い切っていたため、ユニフォームを裏返しにしたフィールドプレーヤーのトゥンジャイがGKを務めるという、もし追いつかれたらPK戦どうすんねん! という状況を凌ぎ切り、なんとか決勝トーナメントへ進出しました。