「ミラクルターキー」の快進撃は終わらない!
そして、準々決勝の相手はグループリーグ全勝で勝ち上がってきたクロアチアです。
若きモドリッチとラキティッチのコンビが攻撃を操るクロアチアは、これまで粘り強く倒してきた相手より遥かに強い。クロアチアの怒涛の攻撃を、ボルカンの退場で出番を得たGKルストゥ中心にしのぎます。2002日韓ワールドカップ以来のルストゥは、相変わらずシュートストップの鬼でした。
この試合は延長戦にもつれこみ、トルコは怪我人も続出。死闘続きで満身創痍です。そして試合は120分を経過。このままPK戦にもつれ込むだろうという、そのときでした。モドリッチのクロスからクラスニッチがゴール!! ラスト1分でのクロアチアの勝ち越しゴールでした!!
これでさすがに試合は決まり! トルコもここまでか……。残りは1分。トルコボールのキックオフから放り込んだボールは、クロアチアにクリアされます。
しかし、これを前線で待っていたクロアチアの選手がオフサイドに。試合時間はあと30秒、ゴールまで70mほど。ルストゥが前線に蹴り込んだボールは混戦のなかで、ペナルティエリア内のトルコ代表セミフの前に。左足一閃!! 迷いなく振り抜いたボールは、ゴール左上に突き刺さりました!!
そして試合終了の笛。こうなるとPK戦は完全にトルコの勢いが勝ります。まだ若きモドリッチも失敗し、トルコが準決勝に進出です!!
これ、皆さん記事で読んでいるから「わー、すげぇー」でしょ? これを生で毎試合を見てたと想像してください!!? 血管がちぎれるくらい熱狂しますよ!! スタジアムにいたトルコサポーターは一生分、熱狂したんじゃないですかね!?
優勝候補・ドイツ撃破なるか!?
さて、この大会で相手よりリードしていた時間は、合計しても10分に満たないトルコは優勝候補のドイツに挑みます。
ここまで死闘を続けた代償で怪我人が5人。そして出場停止者が4人も出てしまい、試合に出られる選手が14人だけ。そのうち2人はGKなので、実質交代枠2人という満身創痍中の満身創痍で優勝候補との一戦を迎えました。
圧倒的にドイツ優勢が予想されるなかで、トルコはプレーのクオリティでいえば間違いなく、この大会の自己ベストを叩き出します。
序盤から運動量で優位に立つと19分、グラウンダーのクロスをなんとか足に当てたカズムカズムのシュートは緩やかな弧を描き、ドイツのGKレーマンの頭上を超えてクロスバー直撃。ボールは偶然にもトルコのボラルのほうに跳ね、ボラルがバタバタと蹴ったボールはレーマンの股を通りゴールへ。
戦う戦士たちに、サッカーの女神からのご褒美のような幸運なゴールが決まります。
その後、地力で勝るドイツのシュバインシュタイガーに決められ、さらに78分、ついにクローゼに逆転ゴールを決められ、さすがにもう無理かと思いました。たぶん、みんな思いました。ドイツは強く、これまで以上に番狂わせが起こりうる実力差には見えなかったのです。
しかし、86分でした。右サイドで若き日の名手ラームを抜き去ったサブリのクロスを、ニアでセミフが爪先で触りゴールへ流し込んだのです!!
マジか!! マジで!! この感じで決勝までいっちゃうのか!!!?
……と最初はほとんど誰も注目していなかったトルコの躍進に「ミラクルターキー」の二つ名がつき、世界中がワクワクしていたところで、トルコに終止符を打ったのは、先ほど失点のきっかけになる突破を許したラームでした。
左サイド低い位置から持ち上がると、味方に預けてゴール方向でリターンをもらい、最後はサイドバックとは思えない余裕でキーパーの逆を突き、ゴールを奪い試合を終わらせました。
こうして、僕の印象に最も残っているチームは終わりを迎えたわけなんですが、こういうことが起こるからEUROって最高なんですよね。なぜかW杯より番狂わせが多い気がする。そして、それを見逃したくないから、毎日、夜更かししちゃうんですよね。
今回のEURO、放映権をどこが取るのか発表されていませんけど、見られないなんてこと、ないですよね……!! 頼みますよ!! 偉い人たち!!