編集者の「笑いをとる」という煩悩が恥ずかしい(笑)

――早くコロナが沈静化しますうように。さて、今回、出版された『ザ煩悩』ですが、非常に読みやすいですよね。本当に哲夫さんとマンツーマンで相談しているような感覚になります。

哲夫 それはリスナーのみなさんの質問がいいからですよ! FM大阪で放送されている『笑い飯哲夫のサタデーナイト仏教』(毎週土曜深夜24時55分~)という番組に寄せられたものなんですけど、まぁ、とにかくみなさん赤裸々というか、ようこんなに言いにくいことを送ってくれたなぁ~、というものばかりでね。

――なかなか友人とかには相談しにくいこともありますからね。ラジオ発信だからこそ、会話をしているような感覚があるのかもしれません。ちなみに本の章の構成が「貧・瞋・痴・慢・疑・見」という形になっていますが、このジャンル分けと順番も哲夫さんが決めたんですか?

哲夫 そうですね。ただ、それぞれの質問についている「羞恥」とか「卑屈」といった二字熟語は出版社のほうでつけてくれました。センスのいい仕事ですよね。このあいだ「この熟語も仏教用語なんですか?」と聞かれたんですけど、たぶん、これは編集者用語なんだと思いますね(笑)。

――もちろん最初から最後まで通して読むのが一番いいんでしょうけど、枕もとに置いて、寝る前に気になる項目だけ読む、というのもアリですよね。

哲夫 本当に目次をパッと見て「あっ、今日の自分の悩みと一緒や!」と思うところがあったら、そこだけパッと読んでもらえたらいいかなぁ~、と。おこがましいですけど。

――いやいや、悩みや煩悩は日々、変わるものですから、いまは興味のない項目が、1カ月後には切実な話になっているかもしれないですし。あと、これはwebでは伝わらないんですけど、表紙カバーの紙質がとてもいいので、長くお手元に置いておくと、だんだん味が出るんではないか、と。

哲夫 そんなところまで、ありがとうございます。ただね、表紙でいえば、ちょっと帯のところに注目してもらいたいんですけど、小さい文字で「けっして回し読みをしないでください」って書いてあるでしょ? まぁ、みんな買ってくださいね、というちょっとした冗談なんですけど、これ、僕が書いたんじゃないんですよ。編集者が勝手に書いたんです。恥ずかしいわあ~。本当にしょーもない、絶妙にしょーもないことが書いてあって、まるで僕がスベったようになっている。これは編集者の煩悩やわ~。「笑いをとる」という煩悩ですわ。

編集者の「笑いをとる」という煩悩が恥ずかしい(笑)