パチンコ台を自作してしまったオヤジ

そんな親父が。もともと、きっとモノを作ることが好きな人だったとは思うんですが、家で、休みの日にね。オリジナルのパチンコ台っぽいものを、自作して、遊ばせてくれたんですよ。

まあ、とはいえ、個人が作るものですし、当時は個人で液晶やら画面やら派手な役物がつけられるような時代でもないですから、いわゆるスマートボールとか、コリントゲームに近いものでしたが。盤面も垂直でガラスがついているような、本当のパチンコ台のようなものではなく、緩やかな傾斜に従ってゆっくりと玉が転がっていく……っていうような感じでしたね。

それでもね、うちの親父はすごかったっすよ。ホームセンターでベニヤと釘を買ってきてね(ちゃんと金色の、頭の部分が丸い、今のパチンコと同じ釘だったなあ)。設計図用に方眼紙も準備して、綿密に設計図をこしらえて、いわゆるゲージ構成(釘配列)なんかも丁寧に書き起こして、それをベニヤ板に転写して、一本一本釘を丁寧に打って……おそらく、一つ作り上げるのに1週間以上は費やしていたと思います。

今思い出しても、相当なクオリティで配列されてたんですよ。小学生が夏休みの工作で作るような割と雑なパチンコゲームっぽいものではなくて。ほんと、釘の配列を見たら機械で打ったものと遜色がないくらい。写真とか残ってないのがすごく残念ですけど。

それでね、盤面上に、「〇点!」みたいなのが書いてあるポケットがあって、そこに入ったら「ポイント獲得!」みたいなゲームを作ってくれて。それも1つだけじゃなくて、それに飽きたらまた次の作品をパワーアップしてリリースしてくるんですよ。

最初はほんとうに小さいサイズで、縦横30センチくらいだったと思います。盤面に穴とかがあったわけじゃなく、釘がポケット型になってて、そこに入ったら得点……みたいな。

しかもね、何度も何度もテストを繰り返したのか、めちゃくちゃゲージのバランス調整とかも凝っていて。入賞が簡単なところとか、難しいところとかがしっかりあって。しかも、難しいところも絶対入らないわけじゃなくて、たまには入る、みたいな絶妙さで。