“細かい注意事項”が炎上回避につながる
イベントにまつわる作業ほぼ全てを自社で行ったため、「お問い合わせ」や「ご意見」もすべて弊社宛に飛んできた。対応を間違えればクレームにつながったりSNS炎上につながるリスクがある、これが本当にプレッシャーだった。
「クレカの有効期限が切れててどうしたらいいですか?」
「風邪ひいちゃって行けなくなったので払い戻ししたいです」
「骨折して松葉杖なのではじっこの席にしてください」
……などなど、多種多様な問い合わせが届いた。対応するべきか、対応できない旨を伝えるべきか、それとも無視するべきか……1つひとつの問い合わせにかなり気を遣った。色んなサービスでよく見る「めちゃくちゃ細かい注意事項」は、こういう問い合わせ対策なんだなと痛感した。
「注意事項に書いてありますよね」は、様々なリスクを回避できる魔法の合言葉だ。
リスクを抱える=勝負をしている
イベント3日前、2024年1月1日に「令和6年能登半島地震」が発生した。東京にいた僕も大きな揺れを感じ、被害の全貌が明らかになるまでイベントの開催自体が危ぶまれた。地震などの天災に限らず、新型コロナウイルスが流行した頃もそういえば次々にイベントが中止になっていたことを思い出した。
僕はここで初めて「そもそもイベントが開催できないかもしれない」というリスクに直面した。言わずもがなイベントが中止になったらとんでもない額の負債を抱えることになる。本当に気が気じゃなかった。
1月4日、予定通りイベントを開催することができたが「他イベントの開催状況」を気にしまくった。こんなときのための「イベント保険」も調べたが、僕が見た保険の加入条件が「売上の10%を掛け捨て」だった。
売上の10%を持っていかれるのは痛すぎる、今後イベントを開催するにしても、天災のリスクは払拭できなさそうと思った。
少し余談だが、地震に伴って被災者の方に対する「チケット払い戻しのお知らせ」を行った。すると「被災者です、払い戻してほしいです」という連絡が20件くらいきた。被災地域にお住まいと分かる書類の送付をお願いすると、2件だけ返ってきた。残りの18件は一体……。
【板橋ハウスのラジオディア公開収録 令和6年能登半島地震に伴うチケット払い戻しについて】 pic.twitter.com/yqMDNxg1eY
— 板橋ハウスのラジオディア (@i_radiodia) January 3, 2024
様々なリスクと向き合いながら、イベントは無事に終了した。しかし弊社は「イベントが終わった後の世界」のことを何も考えていなかった。弊社が主催なんだから、終わったあとの片付けだったりお金の計算だったりも弊社がやるに決まっている。
これがとにかく地獄だった。
ヘロヘロになりながらゴミの処理をして、グッズの在庫や使った機材をハイエースに積み込んで自宅へと戻って撤収作業をした。すべて終わったのは午前4時ごろだった。
チケット販売からグッズ制作、片付けまで何から何まで自社でやったことで「このリスクはお金を払ってでも回避するべき」「このリスクは抱えなければいけない」というのがだいぶ把握できた。
そして「これまでこんな大変なリスクを抱えて色んなイベントが成立していたんだな」という畏敬の念を抱いた、勇気ある同業者たちに乾杯。月並みすぎるけど"やってみなきゃわからない"がたくさんあった。
そして忘れてはならないのが「リスクを抱えた分、やりがいも大きくなる」ということ。全てが終わってから飲んだお酒は格別だったし、クセになりそうだと思った。リスクを抱えるというのは「勝負をしている」と言い換えられるかもしれない。また勝負したい、リスクを抱えてキリキリしたい、リスクジャンキー。
現在、弊社は性懲りもなく『板橋ハウスのラジオディア4大都市ツアー』を制作している。6月の名古屋公演は無事に成功し、8月に大阪公演、10月に福岡公演、そして年始に横浜「神奈川県民ホール」2500人キャパでの公演が控えている。
1度経験があるのとないのでは大違いで、だいぶスムーズに進んでいる一方、名古屋・大阪・福岡という遠征は初めての経験なので、ここでも「機材を運搬するのってこんなにお金かかるの!?」など初体験の連続だ。またどこかでこれも書きたいな。
次回の『TP社長日記』は、8月22日(木)更新予定です。お楽しみに!!
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