命の恩人のはずが…今や“しもべ”となった

Hanaさんとねことの思い出について話を聞いた。初めてねこを飼ったのは高校生の頃だった。

「高校のときに野良猫を保護しました。それが初めて飼ったねこですね。その子は1年くらいで亡くなってしまいました。その後、大学4年の頃にまた野良猫を家族が保護して、それから7年経って今も生きてくれています。
 
今いる子は、家の近くに野良猫としていたんですが、あるとき家族が子どもたちにいじめられているのを見つけて保護しました。私はその時、学外研修で家を離れていたんですが、帰ってきたらその子が家にいて、みんなでお世話をするようになったんです。最初は一時的に保護するつもりで、里親を探しつつ飼っていたんですけど、愛着が湧いてそのまま家族の一員になりました。
 
だから、私たちはこの子の命の恩人のはずなんです。でも、今では家族全員が“しもべ”です(笑)。たぶん、助けられたことなんてすっかり忘れてますよ。いつの間にか尻に敷かれるようになりました。」
▲上から飼い主(しもべ)を見下ろす ねこ様 本人X(旧Twitter)より

Hanaさんが飼っているねこは2匹。どちらも黒いねこだという。しかし、『ねことしもべ』で描かれるねこは、白いねこ。これには理由があるのだろうか。

「白いねこが描きやすいんです。最初は黒で描こうと思ったんですけど、私は線画が得意なので、黒は描きづらくて白にしました。結果、白くてシンプルなほうが共感してもらいやすくなったのかなと。自分のねこを当てはめて見てもらえたら。しもべもそうですね。私だけど、皆さんを表してると思ってます。

昔、ねこを飼っていた方から、飼っていた頃の記憶がよみがえると言われることもあって。そう言われるのはうれしいですね」

▲思わずねこを飼っているなら頷く瞬間 本人X(旧Twitter)より

最近はHanaさん自身の体験談だけではなく、フォロワーの方にエピソードを募集してイラストを描いている。

「募集したエピソードを見るのも楽しくて、それを描くのも楽しいです。皆さんから共感できるエピソードが送られてきます。上級しもべの方がたくさんいます(笑)。ねこによって全然違うので、その違いも楽しめますね」

▲これぞ上級しもべ! 本人X(旧Twitter)より

『ねことしもべ』をアニメ化をしたい!

Hanaさんは現在、フルデジタルでイラストを制作している。高校生の頃はアナログで描いていたが、その頃は今とは全く異なる画風の絵を描いていたそうだ。

「公募展に出展するために、カメの絵をアナログで描きました。自宅の壁に飾ってます。それがアナログで描いた最後の絵ですね。その頃には『ゆるcats』を描いていたので、今の画風とこんな感じのと両方描いてました。

デジタルで、この頃の画風の絵を描くこともあるんですが、機会は減ったので腕が落ちてるかもしれないです。こういうのも描いていきたいなとは思ってますけど……。いきなり、リアルなねこの絵が登場しても面白いですよね。ざわつくかもしれないですけど(笑)」

▲公募展用に描いたカメのアナログ絵 本人画像提供

さらに今後の目標を聞いてみると、「『ねことしもべ』をアニメ化をしたい!」と大いなる野望を語ってくれた。

「アニメーションにして動かしたいです。大学の卒業制作で、恐竜のショートアニメーションを制作したんです。ショートアニメを作るのも好きなので、YouTubeとかに載せたりしようかな。

さらに大きな野望を言うと、アニメ化して声優さんに声を当ててほしいです。私、アニメが好きなので“声優さんは誰がいいだろう?”なんて考えちゃって、夢が膨らみます。ぜひ、しもべの心を持つ方にやってもらいたいです(笑)。

一番の野望がそれなので、自分でショートアニメを作ったときに、自分の声をつけるかどうかは迷ってるんですよ。私の声でイメージがついてしまうと、声優さんに声をあててもらいにくくなるのかなと思って……。絶対、声優さんに当ててもらいたいんです!

まずは、音声なしでアニメーションを作ってみようと思います。ゆくゆくは、どこかのアニメ会社が作ってくれないかなぁ……アニメ化は本当に夢なんで、よろしくお願いします!」

(取材:山崎 淳)


プロフィール
 
Hana Takara
イラストレーター。SNSで、ねこに尽くす飼い主の日常マンガ『ねことしもべ』を運営。ねこ好きなら思わず共感する「ねこハラ(ご褒美)」の日常マンガを公開中。X(旧Twitter):@nekotoshimobe