ユニフォームについている星は特別

太鵬というコンビの太朗という男がいます。彼はお笑いの後輩で、熱狂的なアビスパ福岡サポーターなのですが、先日芸人が集まってやるサッカーにアビスパの記念ユニフォームを着てきました。そして嬉しそうに、そのユニフォームのエンブレムの上についた金色の星を自慢してきました。昨年のルヴァンカップ優勝でついた待望の星です。

決勝の対戦相手が浦和レッズだったこともあり反射的に、

「ルヴァンカップの優勝って星つくの?」
「うちはアジア(ACL)とJリーグだけど」

と、皮肉って着ているレッズのユニフォームの胸についた三つの星を逆に自慢してしまいましたが、内心では太朗の嬉しそうな姿に、「とてもいいな」と思ってしまいました。

昨年のルヴァンカップ決勝では、開始早々のゴールと、前半終了間際のゴールでアビスパが優位に試合を進めます。レッズも一点は返したものの、2-1でアビスパが勝利。

当時のレッズは守備は堅いものの、攻撃に関してはホセ・カンテ選手の理不尽ゴールに依存していた部分が強く、

「先制されてアビスパに5バックを引かれたら、ちょっとダルいな」

と考えていた矢先に先制ゴールを浴びてしまいました。

右サイドの縦突破からの右足クロスで先制ゴールをアシストしたMF紺野和也選手は、埼玉県出身。マッチアップしたDF荻原拓也選手とは近い世代(2歳違い)なので、子どもの頃から知っている存在だったでしょう。

武南のメッシ・法政のメッシと呼ばれた紺野選手のカットインからの左足を警戒した荻原選手は、縦に突破されてしまったのかもしれません。

中に飛び込んできたMF前寛之選手も低い位置から、全速力で走り込む。FWならまだしも、あんだけ後ろのポジションの選手がDFの死角からあの勢いで飛び込んできたらそりゃ捕まえられませんわ、という相手を褒めるしかないゴールでした。そして、

「今のレッズでは2点ビハインドになったりしたら、引かれた相手から取り返すのはかなり厳しい戦いになるぞ」

と思っていたところ、アビスパに訪れたふたつ目の、前半でたったふたつだけの決定機を仕留められる形で2点目を失ってしまい、むしろアビスパのその集中力には感服、と言った感じの心から「おめでとう。優勝はアビスパが相応しい」と思える優勝でした。

〇【ハイライト】アビスパ福岡×浦和レッズ 「2023JリーグYBCルヴァンカップ プライムステージ 決勝」

記念ユニフォームを着ている太朗は、あの時の喜びが再び蘇っているようでその姿を見ると、僕も初めて浦和がタイトルを取った瞬間のことを思い出しました。

2003年、ナビスコカップ。弱小時代もJ2時代も子どもながらに見てきて、なんだかタイトルなんかはるか遠くのことのように思っていたすがや少年が、初めてレッズを強いと思ったのはその一年前。

2002年のセカンドステージ。FC東京から移籍してきたトゥットと永井雄一郎さん、そしてエメルソンのスリートップが、Jリーグ最強スリートップとして猛威をふるっていました。

それまでレッズに来るブラジル人10番は、そんなに上手くないのに、小野伸二を押し除けるようにFKを蹴ったりする我が強いアドリアーノや、アドリアーノよりは上手いけど、伸二の代わりというにはだいぶ厳しいアリソン(全部当時の僕の印象です。すがや少年、伸二の代役は誰であれ厳しいよ)などイマイチだったと記憶してるのですが、トゥットやエメルソン第二期(パスを出すようになった以後のことを指す。ちなみに、第三期で中東移籍した)はそれはもう頼れるストライカーでした。

ただし、このチームが引き分け挟んで8連勝と優勝を意識し始めて、福田正博さんがヒーローインタビューで「負けないよ!」と宣言した後6連敗して、優勝はあっさりとレッズの前から消えるのですが……。

スピード特化のスリートップのカウンター戦術は、引いてブロック作ったら良さが出ない、というのがバレてしまうのですよね。