カカロニ・すがや浦和レッズ初のタイトル獲得！
ただこの年、レッズはナビスコカップで初めて決勝進出を果たします。タイトルを獲ったことがないチームのサポーターあるあるかもしれないのですが、あと一勝でタイトルと言われても、すがや少年にはどこか現実味がないような、フワフワした感覚でした。
少年団の練習終わりでダッシュで家に帰って、テレビで途中から見たような気がします。本当にうっすらとした記憶ですが、テレビをつけた時にはもう一点ビハインドで、そのまま試合巧者の相手の手のひらで踊っているような負け方をしたような、そんな気がします。小6の所感を21年後に思い出しているので精度は低いかもですが。
幼い頃から見てきた晩年の福田正博さんや井原正巳さんがいたものの、決勝の雰囲気に少しのまれていた浦和が、小笠原満男さんや本山雅志さん、中田浩二さんに曽ヶ端準さん。国際経験豊富な黄金世代中心の鹿島の前に沈んだ、という印象でした。
それから一年後、浦和レッズは再びナビスコカップの決勝の舞台に帰ってきます。相手はまたしても鹿島。憎き鹿島です。僕が4歳で初めて見に行った試合で負けたのも鹿島戦なら、前年にレッズの目の前から優勝をかっさらっていったのも鹿島。
「ダービーだから相手を憎む」なんてことはないタイプだし、むしろ好きな選手は鹿島にもたくさんいる僕なんですが、それ以上に強く「鹿島にだけは負けたくない」と思うようになったのは、この頃からだったような気がします(余談ですが2006年ごろからガンバにだけは負けたくない、も加わります)。
僕の中では長い間「鹿島戦は負けるもの」だったんですよ。子どもながらにそういう認識だったんです。
でも前年の決勝が悔しくて、この年の決勝は、決勝という舞台に浮かれるような気持ちではなく、「絶対勝つぞ！」という強い気持ちで国立に行きました。
お小遣いで買ったエメルソンのシャツを着て応援。初めてお小遣いを衣類に使ったのがこの日です。親父、写真の一枚くらい撮っとけよ。将来コラム書く時困るから。と思うくらい現地観戦の写真がないすがや家ですが、この日も案の定写真など撮らず。
雨の国立でビチャビチャになったマッチデープログラムとトレーディングカードだけが、形に残る思い出として残っています。
レッズの選手達も前年の決勝とは違いました。浮き足立つ様子などなく「当たり前に勝つ！」という空気でした。
田中達也選手が、鈴木啓太選手が、山瀬功治選手が、オリンピックを翌年に控える若い赤がこれまた若いエメルソンと試合巧者のアントラーズを飲み込んでいく様は痛快で、それまでレッズを応援してきて、こんなにも夢があったことはありません。
この試合通じてヒヤッとした瞬間は、前半途中のエメルソンと坪井慶介さんが味方同士で衝突して傷んだ後くらいでした。
エメルソンは包帯を頭に巻いてプレーを続行。坪井選手は一時ピッチから離れるもオフト監督は交代枠を使わず。10人で10分以上耐えるレッズも、坪井選手が頭に包帯を巻いてピッチに帰ってきた時も胸が熱くなり、その時に「いける！」と思ったんです。
坪井選手や永井選手も20代前半ですから、本当に若いチームです(後にエメルソンは年齢詐称が発覚して若くなかったことがわかる)。
浦和は山瀬選手のゴールで先制すると、エメルソン、田中選手が次々とゴールを奪います。そして、試合は4対0で終了。レッズが初優勝を果たしました。
優勝の瞬間のスタジアムの沸き方は凄まじいものがありました。チーム初タイトル獲得の瞬間なんて二度とありませんから、あの雰囲気を中で味わえたことは大切な思い出になっています。
〇【2003年YNC決勝】鹿島vs浦和［Jリーグ公式チャンネル］
ずっと弱かった。
ずっと負ける姿ばっかり見てきた。
でも次々と若い選手が出てきて、初タイトルを獲った時にそれが全ていい思い出に変わった気がしたんです。
まして都民の僕はチーム内で唯一の浦和サポーターということで、Ｊリーグの話題をするときはいつもアウェーでした。でも、この日のためにずっと好きでいたんだ、と。
僕は幸運にも12歳でこの歓喜を味わえて、その後も何度か最高の瞬間を味わったけど、太朗にとっては30歳で初めて訪れたタイトル。当時の僕の何倍も最高の気分だっただろうなぁ。
ちなみに、今年のルヴァンカップ四強に残ってるのは、横浜F・マリノス、名古屋グランパス、川崎フロンターレ、そしてアルビレックス新潟。もしかしたら新潟サポーターも初タイトルに酔いしれる秋が来るかもしれないですね。
次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch！』は、10月14日(月)更新予定です。お楽しみに！！
