2024年9月16日にLINE CUBE SHIBUYAで行われたAMEFURASSHIのワンマンライブ『AMEFURASSHI Live “Flora” chapter two』。2020年2月から2年間にわたって連載で彼女たちを見てきた担当記者が客席から見た景色とは。

▲『AMEFURASSHI Live “Flora” chapter two』©️Masato Yokoyama

結成6周年を迎えたAMEFURASSHI

「こんなに遠くから、4人のパフォーマンスを見ることができるなんて……」

2024年9月16日。LINE CUBE SHIBUYAの2階席からステージを眺めながら、そんな想いで胸がいっぱいになった。

もちろん、もっと広い会場でAMEFURASSHIのパフォーマンスを見たことは何回もある。アイドルフェスでは、横浜アリーナのステージに立っているし、ももいろクローバーZの西武ドームでのコンサートでは、オープニングアクトとして数万人を熱狂させたこともある。なんなら、ここLINE CUBE SHIBUYAでも浪江女子発組合のコンサートで歌い、踊っている。

でも、今日は違う。ここに集まっている観客は、みんなAMEFURASSHI“だけ”を見にきているのだ。昭和、平成と「アイドルの殿堂」として君臨したLINE CUBE SHIBUYA(昭和・平成の時代の名称は渋谷公会堂)に4人だけで立って、その姿を見るためにたくさんのお客さんが集まっている。

当たり前のことかもしれないけれど、ここ到達するまで長い時間がかかったことを考えると、その“当たり前”の話は非常に重たいことになる。

11月3日でAMEFURASSHIは結成6周年を迎えた。前身の3B junior時代から数えると、4人のキャリアはもう10年を超える。その時間を考えれば、やっと渋谷公会堂に到達、というのは、やっぱり遅すぎる。普通だったら、ここにたどりつくまでに諦めてしまいかねない年月である。

本当だったら、2021年にはこれぐらいの規模の会場に到達できていたと思う。2020年初頭の段階で、かなり攻めたプランニングが練られており、すべてが計画通りに行けば、もっとスピーディーにスターへの階段を昇れたはずだった。

そんなタイミングで襲ってきたコロナ禍。スケジュールはすべて白紙になり、大いなる絶望感に包まれた。いや、絶望感に包まれたのは4人だけではなく、エンターテインメント業界全体だった。

コロナ禍で解散していたアイドルグループや、アイドルを続けることを断念した女の子たちをたくさん見てきた。ライブもできない、握手会もできないという地獄のような状況下。しかも、いつ日常が戻ってくるのか、誰にもわからないという閉塞感。ある意味、あの段階で諦めてしまうことは、正解に近かったのだと思う。

でも、AMEFURASSHIは諦めなかった。

コロナ禍でライブが中止になり、レッスンすらできなくなった時期でも、自宅で鍛錬に励み、運営から課せられた難しい楽曲をしっかりパフォーマンスできるように準備を怠らなかった。結果、目覚ましいスキルアップを遂げ、グループとして何回りも大きくなった。

とはいえ、スキルアップをしたから売れる、というほどアイドルの世界、エンターテインメントの世界は単純ではない。関係者の評価は高まっても、観客動員はなかなか伸びなかった。

そんな日々のことを市川優月は「ずっと立ち止まっているような感覚だった」と、この日のステージ上で振り返ったが、ぼくが知る限り、立ち止まっていた時間なんて1秒もない。