私はひとまず「仕事量調整するように頑張るねー」的なことを長々しく、仰々しく、丁寧に書いたあと、まあせっかくだから軽く要望くらい書き添えてみるか。と思い「休めないのはうちの部署に人が少ないからなんだよねー。だからうちの部署に人増やして欲しいなー」という内容を、仰々しく、丁寧に書き添えてみた。

が、正直全く期待していない

むしろ送った後で
「あ〜いらんこと書いたかも〜、やめときゃよかったー」とすら思った。
余計めんどいことにならなければ良いのだが……。

ま、今は気にせず、とりあえずやれることやりますか。
私は色々なもやもやを全て振り払うように、いや考えなくて済むように仕事に没頭することにした。

没頭しすぎて、あんなメールがきたその日早々に、残業してしまったけど。

まあある意味で忙しい方がありがたい。

だって忙しくて仕事に集中していたら、
「あー、お腹すいたー。なんか食べたーい」
とすら思う暇がないので、余計なものを食べすぎずに済むのだから。
と言いつつ、前に食べないことが原因で、ど停滞を招いたことがあるので、
食べるべき量はしっかりと食べる。

忙しい中、ダイエットにまで気を回す私を誰か褒めて欲しい。
まあそんなこんなで、なんとかその日の仕事を終え、まぁまぁ疲れて、いやかなり疲れて帰宅した。

そんな忙しい生活を繰り返して1週間──。

“ピッ”

いつも通り体重計に乗ると、いつも通りの音。

体重は……

10キロ痩せるまで、あと2.5キロ──

んー。
これでかれこれもう10日ほど、また最小値を更新できていない。

まさか……
また、停滞しました??

いやいやいや、今回はちゃんと食べてたのにー!
てか、このくそ忙しいタイミングで停滞って。
神も仏もありゃせんのかい。

てかまた停滞かよ。読者さまも飽きちゃうよ、こんな停滞停滞って同じことばっか!

なんでよー、もー。
えー、アツオにラインして聞いてみる……?
いやでもなー……。
あれから結局なんにもわからずじまいで、もやもやしたまんまだしなー……。

よし。ここは、自力でなんとかしてみよう。
ちょうど今日は、モッちゃんと恒例のジムの日。
思いっきり汗かいて、思いっきりカロリー消費して、やれるだけやってみよう!!

正直仕事が忙しくて身体は疲れている。
今日はせっかくの休日だ。本当は家でずっと寝ていたい。本当は運動なんて一ミリもしたくない。絶対にしたくない。寝たい。
でも! 言ってもあと2.5キロ。今まで7.5キロも頑張って痩せてきたんじゃないか。

しんどいなんて言っていられない! 休んでなどいられない!
ラストスパート、やれるだけやってやんよ!!

と、モッちゃんと共にジムに行き、
いつも以上に汗をかく為にやたらと厚着をしていることをモッちゃんにイジられつつも、必死に汗をかくべく頑張ってみた。

厚着でのジムがいつも以上にしんどかったからか、疲れ果ててほぼ抜け殻のような状態でモッちゃんと共にジムから帰る。と、隣を歩いていたモッちゃんが、

「あ、アツオだ」

と、偶然にも前を歩いていたアツオを発見。

……いや、本当に偶然か……?
だってアツオは斬新な前を歩くストー──
いやいやいや、流石に今回は偶然か。

「おーーい! アツオーー!!」

あ!! モッちゃん!!
しまった、モッちゃんには心配をかけたくなくてアツオとのことを何も言っていない。

今アツオに会うのはなんだかとても気まずい!
「ちょ、モッちゃん……」
と、止めようとしても……時すでに遅し。

アツオはモッちゃんの声に振り返る。
アツオは「あー」とモッちゃんをみて笑顔になるが、
「あー……」と私も見つけて少しだけ顔を曇らせた。

モッちゃんはアツオに小走りで寄る。付いていかないのもおかしいので、私も少し遅れてモッちゃんの後ろをついていく。

モッちゃんが、ジム帰りであることを伝えると、
頑張ってますね! と白い歯を輝かせて微笑むアツオ。
するとモッちゃんが

「頑張ってるよー! 今日とかこの子バカみたいに厚着してバカみたいに汗かいてたからね!」

バカは余計だ、モッちゃんよ。

「相当カロリー消費してるよ、きっと!」

まあモッちゃんが自分のことのように笑顔でそう言ってくれるのは嬉しいのだけど。
するとアツオが、

「あ、それ勘違いですよ!」

と。そして、私にとって驚愕の一言をアツオは言い放った。

「汗って、カロリー消費に関係ないですから!」

 

……え?

 

「汗って体温を調節するためのものですから。
どれだけ汗かいたってカロリー消費とは関係ないです

そ、そうなの……!?

汗をかいたらかいた分だけカロリーが消費されると勘違いしている人も多いが、汗とカロリーはほぼほぼ無関係だとアツオはいう。
じゃあ……私が今日とてもなくしんどい思いをして汗かきまくったのは一体なんだったんだ……。

「むしろ過剰に汗をかくのは脱水とか熱中症のリスクがあるので危険です。ちゃんと水分補給しました?」

私はアツオから伝えられた事実を受け止めきれなくて、ガクッとしゃがみ込んでしまった。

「あー!! やっぱり水分補給してないんですね!?」

狼狽するアツオにモッちゃんが

「いやいやいや、違う違う違う。たぶん汗がカロリーと関係ないって衝撃の事実に力抜けただけ」

ショックすぎる……。仕事も忙しい中、あんなに頑張ったのに……。
なにこの仕打ち。神も仏もありゃせんのかい。

ひとまず私たちは休憩がてら、前にも行った喫茶店に向かうことにした。
そして喫茶店で、話の流れからアツオに最近のダイエット事情の話をすると、「なるほど。カロリー管理もP・F・C管理もしっかりしているのに、また停滞。うん、じゃあ次のカードを切りましょうか!」

カード??