《第21話》「ドリル女の末路」

2週間前。

10キロ痩せるまで、あと4キロ──

という状態からほぼ1ヶ月ほど停滞していた私は、
モッちゃんの元パーソナルトレーナー・アツオさん(ごめん。なんか“さん付け”がしっくりこないから以降は敬称略。本名じゃないから許して!)に相談したところ、

「ダイエットなんてやめちゃえば!!」

と、元も子もないことを言われ、その後、

「ダイエットやめたら、痩せますよ!」

と、摩訶不思議アドベンチャーなことを言われた。

いやいやいや、やめたら太りますやん。
こっちはそれが怖くて、必死に必死に頑張って、それでも痩せなくて泣きそうになってんのに。

「なんでダイエットやめたら太るんですか?」
「いやそりゃ太るでしょ」

私の代わりにモッちゃんがアツオに答えた。

「え!? 僕はダイエットやめちゃえって言ったんですよ! 太れなんて言ってないです!」

……確かに!
だがヘリクツ!

「ダイエットキッツ! もうやめたい! って思ったら、やめればいい。今すぐやめるべきです!」

いや、だからそんなことしたら──

「だって、太りもしないし、痩せもしないカロリー、大体把握してるでしょ?」

……確かに。

“選ぶもの大作戦”を取り入れたとき、つまり痩せ始めた時に大体のメンテナンスカロリー(太りも痩せもしない接種カロリー)は把握したつもりだ(第6話参照)。

つまり、アツオが何を言いたいかというと、

一回ダイエットやめてメンテナンスカロリーに戻しましょ。

ってことらしいです。

「別に後輩さんのいう通り、チートしてもいいんですよ。いいんですけど
そのメンタル状態でチートして、体重増えたら、たぶん想像を絶するほどイライラしますよ?」

これまた確かに!

アツオいわく、ダイエットにおいて、メンタルはかなり重要

メンタル的に「キツイ」とか「しんどい」って状態のダイエットは、
最悪な末路に向かってまっしぐら なんだそう。

最悪な末路。それは……

「もう! こんなキツイししんどいこと 誰に頼まれたわけでもないのに なんでやってんの? アホらしい! やめたやめた!」

となって、オーバーカロリーな日々を過ごし、
なんなら食事制限の反動で頭が完全にバカになり
さらには以前よりも増した化け物食欲 により、これでもかというほど食べすぎた結果……

 

……

 

と、摩訶不思議アドベンチャー状態になる。

……容易すぎる。
容易に想像できすぎるぞ、その未来!!
だって真横にその未来を現実にした友人がいるんですもの!

「おい、今私がリバウンドした時のこと思い出してたろ?」

バレた。
更にアツオは私に、

「あなた、不真面目ですね!!」

……確かに!!

じゃない!! これは確かない!! いや確かないて、そんな日本語あるかいな。いや知らんけど。
いや、そんなことどうでもよくて。こいつが私の何知ってるっていうんだ。

「半年で5、6キロ痩せたって言ってましたよね? その時は別にしんどくなかった。それが、不真面目な証拠です!」
「いや、どう言うことよ。真面目にダイエットしてたから半年で5、6キロ痩せたんじゃないの?」

モッちゃんが私も思っていたことを口にしてくれた。
ありがとう。モッちゃん。その通りだ。言ってやれ! 私のことを昔からよく知る親友よ!

「確かにこの子は昔から真面目そうに見えて、実はクソ不真面目だけど」