『下剋上球児』『ひだまりが聴こえる』、そして、『あんぱん』の柳井千尋役で大躍進を遂げた俳優・中沢元紀のファースト写真集『ルート』が10月1日に発売となった。10月4日からは写真集の発売を記念して、全国5都市でお渡し会も予定されている。
2024年5月から2025年7月まで、中沢元紀の四季を追った今作では、春夏秋冬を歩む姿はもちろんのこと、スタジオでのポートレイト撮影や故郷への旅も収録している。また、同時にインタビュー取材も重ね、その時々の中沢の言葉も収録し、読み応えのある内容にもなっている。今回は、発売前の心境やロケの印象深かった出来事など、たっぷりと中沢に話を聞いた。

昔の記憶が蘇る地元での撮影
――今回の写真集は、様々な場所で四季の風景とともに撮影されています。印象的だった景色とか出来事があれば教えてください。
中沢:僕の地元が茨城なのですが、学生時代に住んでいた所を回らせていただきました。よく行っていた公園や家族で行っていたパン屋さんとか、懐かしさを感じながら撮影しました。この道こんなに狭かったかな? とか。小さい頃の記憶のままの場所に今の自分が行ってみて、やっぱり成長しているんだなっていう気持ちもありましたし。エモい気持ちになりました。
――その場所には何年ぶりぐらいに行かれたんですか?
中沢:5年以上ですかね。たまに実家に帰った時に兄弟と近くに行った時に行ってみようみたいなことはあったんですけど。車からの景色ぐらいしか見てなかったので、実際に行った時はすごく懐かしい気持ちになりました。友達や兄弟と遊んだ思い出が蘇ってきました。
――撮影のこぼれ話みたいなものもお伺いしたいです。
中沢:実家で飼っているネコのルートが出てくるんですけど、家ネコなんで、あまり外に出ることはないんですが外に連れ出して、写真を撮らせてもらいました。最初は大丈夫だったんですけど、後からだんだん機嫌が変わってきて(笑)最後の方はもう、ただ散歩してるだけになって、本当にルート中心に撮影が行われました(笑)。

――ロングインタビューの中で、レッスン生時代にノートをずっと書いていたというお話がありました。今、そのノートに書いた言葉で、思い出す言葉などはありますか?
中沢:あの頃は、今までの人生の中でも一番しんどかった時期で、ノートには、ネガティブな言葉を書きつつも、最後はポジティブな言葉で締めるっていう約束をして書き始めたことがあったので、“貪欲”という言葉を多く使っていたと思います。その精神というか、貪欲さは今でも忘れちゃいけないものかなとは思います。
役者は満足したら終わりだと思うので、そういう意味での貪欲さを忘れずに、一つの作品に対しても役に対しても掘り下げていきたいなという気持ちは今も変わらずにありますし、忘れたくない言葉だなと思います。
――今も継続して書かれていますか?
中沢:今は書いてないです。あの時期は良くも悪くも、書くことで精神を保っていたというか。コロナ禍でもあったので、何もできない時期にこそ書いていて意味があったのかなと思います。今はたまに読み返す程度がちょうどいいのかなと思っています。
――読み返されるということは大事に置いておかれているんですか。
中沢:そうですね。そのノートが結構僕の原点に当たる部分があるので、捨てずに残しています。
――写真を拝見して、とても笑顔が似合う方だなという第一印象を抱きました。中沢さんはよく笑うタイプですか?
中沢:よく笑うようになりました。子供の頃は笑っていたんですけど、レッスン生期間は、本当に笑ってなかったなと思います。
――そうですか、意外です。デビューしてから徐々に笑顔が増えていったんですね。
中沢:そうですね。

――ちなみに、プールのシーンで上半身を見せているところで、凄く体を鍛えていらっしゃるなと思ったのですが、普段から鍛えられているんですか?
中沢:普段から運動は好きでやっていて、筋トレもしますし、ランニングもします。それはノートを書いていた時期からの習慣です。
――見せるために鍛えているというよりは、自然とついてきた筋肉という感じですか。
中沢:そうです。役者は体が資本なので、体作りも大事だと思っていますし、ずっと続けてきたものもあります。いつでも脱げます(笑)。でも、ちゃんと撮影の前にパンプアップしました(笑)。