カカロニ・すがや兵藤監督をはじめ素晴らしいOBがいる早稲田大学
すがや：トップチーム昇格は叶わなかったんですね。そして、早稲田大学へ入学するわけですが、ガンバから早稲田ってあんまり聞かない気がします。進学を決めた理由は？
鈴木：そうですね。武田太一さん(元サッカー選手。2023年に現役を引退)だけだと思います。関東に行きたいって思いがあったのと、コーチの玉井さんからお話をいただいたのが大きかったです。
すがや：そもそも高校時代、大学サッカーについてどれくらい知っていましたか？
鈴木：正直、ほぼ知りませんでした。早稲田からお話をいただいた時に調べ始めました……といってもほぼ早稲田のことですけど。兵藤監督をはじめ、素晴らしいOBの方々がいることが分かって、行きたいなという気持ちになりました。あと、関東リーグはものすごくレベルが高いっていうのを聞いていましたし、たくさんの選手がJリーグや海外で活躍しているのもあり、大きく成長できるのではないかと思いました。
兵藤：おっ！ 持ち上げるのが上手いね(笑)。
すがや：素晴らしい答えですね(笑)。入学後、感じたことはなんでしたか？
鈴木：自分が入学する前年に1部から2部に降格しており、2部からのスタートだったんですけど、2部もレベルが高くて、1部昇格を目指す戦いは厳しいなっていうのは感じました。最初はちょっとフィジカルの部分で苦戦したんですけど、楽しくプレーできていたので、毎週試合が楽しみでした。
すがや：ということは、かなり早い段階でトップチームに絡んだ感じですか？
鈴木：そうですね。入学してすぐにケガをしてしまったんですけど、復帰してからは、Cチーム、Bチームと試合に出て、トップチームでプレーできるようになりました。
プレーよりも私生活が入部の基準
すがや：なるほど。……あっ！ 聞き忘れていたんですけど、早稲田大学ア式蹴球部への入部方法を教えてください。
鈴木：まずラン(ニング)テストがあって、そのテストをクリアしたら、仮入部の期間というのが設けられます。自分たちが1年生の時は、当時の4年生が判断してという形だったんですけど、現在は監督と4年生が判断する形になっています。
すがや：その仮入部期間のプレーを見て本入部が決まるんですか？
兵藤：プレーというより、私生活ですね。4年間ちゃんとサッカーに向き合って、本気でやってくれるのかっていうところを見させてもらう期間です。以前も学生がすべてを決めていたわけではないんですけど、見え方として、最後は責任者である僕(監督)がジャッジする形をとっています。
ただ、やっぱり監督の前で見せる顔と、そうじゃない顔っていうのは絶対あるんです。4年生を中心にそういうところ(指導者に見せない顔)を見てほしいっていうことを伝えて、意見を吸い上げて、最終面談を僕がやって、(入部できるかどうか)伝えています。
すがや：これまでいくつかの大学を取材してきましたが、どの大学ともまた違った形です。スポーツ推薦や高校時代に練習参加した生徒しか入部できない、というのがほとんどでした。一般受験から入ってくる子は本当に少ないっていうケースが多かったんですけど、早稲田はランテストとその仮入部期間を経れば、サッカー(推薦)で入ってきてなくても入部可能ということですよね？
兵藤：そうです。門はめちゃくちゃ広く開いています。ただ、今のご時世、部員ひとりの行動で部の活動が停止になったりというのがあるじゃないですか。そういうことをできるだけ少なくするためにも、仮入部の期間でちょっと(私生活の部分を)見させてもらうというか。本気でサッカーに取り組む学生たちがいる集団で、本気になれない人間がいると、(本気の)学生にも迷惑がかかるので。
すがや：サッカーが上手いかどうかより、人間性ということですね。
兵藤：そうです。最初に「プロ養成所じゃない」というのは伝えるので。早稲田は、人格形成と、人間力を身につける、鍛えることが一番大事という哲学のもとやっています。
すがや：サッカー選手としてではなく、いち社会人として通用する人間を育てていらっしゃるんですね。早稲田出身の選手は、息が長い選手が多いような気がするんですけど、そういった人間力が身についているからかもしれませんね。そんな中でもスポーツ推薦といった枠はあるのでしょうか？
鈴木：3枠ですね。僕はありがたいことに、練習参加などを経てスポーツ推薦をいただくことができました。
すがや：3枠ですか……。他の大学と比べるとすごく狭き門に感じます。では、推薦や一般で入ってきて、ランテストと私生活チェックをくぐり抜けた選手たちでチームは構成されているんですね。現在、部員は何名ほどいるのでしょうか？ あと、チームは何チームあるんですか？
鈴木：4年生が抜けて、80名くらいでしょうか。ひと学年25～30人ほどです。チームは、Aチーム、Bチーム、Cチームの3つです。