見つけた「悪目立ち」という四文字
そんな日々を送る中、たまたまネットで見つけた、「悪目立ち」という四文字。それを見た瞬間に私の中の何かが音を立てて崩壊した。
私の誠実さは、この場所ではただの場違いな熱狂だったのか。それから身体が思うように動かなくなった。必死に踊ろうとすればするほど、誰かの冷ややかな視線が脳裏をよぎり、身体に呪いのようなブレーキがかかる。あんなに心地よかったはずの汗が、今はただ冷たく肌に張り付いている。
どれほど誠意や正義、そして誠実さを込めて表現したところで、それが正しく届くとは限らない。私の生きる世界は、個人の想いがそのまま正当に評価されるほど甘い場所ではないのだ。
それでも、私は誠実に生きたいのだ。私は努力家ではない。ただ、私を肯定し、信じてくれる人達を失望させたくない。彼らへの誠実さを守ることだけが、今の私をかろうじて舞台に繋ぎ止めている。けれど、その誠実ささえ歪んで届いてしまうこの場所で、ふと安息を求めて逃げ出したいと願ってしまう私は不誠実なのだろうか。
センター曲の振り入れの日
どうすることもできない足枷を引きずったまま、センター曲の振り入れの日がやってきた。この曲はファンの人達が私にくれた、かけがえのないプレゼントだ。投票企画で1位を獲り、センターを一緒に掴み取った大切な曲。今日という日を、私はずっと楽しみにしていた。この曲の振り付けを担当してくれるのは、CRE8BOYさんだ。初めてのセンター曲、一体どんな振りが付くのだろう。私はずっとワクワクしていた。
けれど、いつも通りのレッスン場、いつも通りのメンバー達の話し声。その日常の風景を見た時、熱を帯びていた私の心がふっと冷えていくような感覚があった。また周りと違う熱量を放ってしまうのが怖い。
提示された振り付けは、とても素敵だった。モチーフになっていたのは、私の幼い頃の夢である「指揮者」。私以外の15人のメンバーが楽器となり、私はその中心で指揮をするように彼女達の動きを導いていく。
しかし、曲の最後、一番の盛り上がりの部分で踊りの流れがふっと途切れてしまった。15人が円になってぐるぐると回るその中心で、私1人だけが自由に踊るパートが用意されていたのだ。……自由は、難しい。
正解がない空間に放り出されると、また誰かの冷ややかな視線を想像してしまう。決められた振りをなぞる方が、今の私にはずっと楽だ。変に熱くなっていると思われないだろうかと怖くなって、結局、私は無難な踊りでその場をやり過ごしてしまった。なんとか形だけ整えた最後の通しが終わると、CRE8BOYさんが私たちを集めた。
「とりあえず、これを見てほしい」
そう言われて見せられたのは、Mrs. GREEN APPLEさんの『青と夏』のMVだった。なぜ今、これを見せられているのか。最初は誰もその意図を掴めないまま、ただ黙って画面を見つめていた。しばらくして、CRE8BOYさんは静かに口を開いた。
「この動画には、ごく普通の高校生もいるし、芸能をやっているような子もいるだろう。自分を表現するのが苦手な子も、得意な子もいるはずだ」
彼は画面の中の、汗を輝かせて、弾けるような笑顔を見せる若者たちを指差した。
「でも見て。そんな子たちはみんな、このMVでは自分の感情を全てさらけ出している。彼らは全力で、自分という存在を表現している。この映像、僕はすごく美しいと思うよ」
そして、私たちの目を真っ直ぐに見て言った。
「君たちはアイドルであり、表現者だ。感情を全て出し切って、全力を出して、がむしゃらにやるのが仕事なんだよ。その姿を見て、誰かの心が動く。誰かを元気づける。それがアイドルの仕事だろう」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が震えた。全力で取り組む姿を、彼は「美しい」と言った。アイドルとして、表現者として、どうあるべきか。私は何をしたくてこの世界に入ってきたのか。
「みんな、一旦水飲んで、もう一回やってみよう」
その号令の後、私は個別に呼び止められた。
CRE8BOYさんは、少しいたずらっぽく笑って言った。
「あそこの自由な振りだけどね。梁瀬さんならできると思ったから、ああいう振り付けにしたんだよ」
たったそれだけ。けれど、その一言だけで十分だった。止まっていた私の時間がまた動き出す。私の過去も、葛藤も知らないはずだ。それなのに、今の私を見て「できる」と信じて、あの場所を託してくれたのだ。
もう一度、曲が流れた。
空気が劇的に変わったのが分かった。メンバー全員が、感情を爆発させることに意識を向けていた。レッスン場の温度が何度か上がったように感じた。
そして訪れた、最後のあのパート。円の中心で、私はもう何も考えていなかった。身体が勝手に動いた。湧き上がる感情の波に突き動かされるように、手足が心のままに空を舞った。
足枷は外れていた。
楽しかった。心の底から、ただ、楽しかった。
正解のない空間で、私はようやく本当の意味で自由になれた気がした。
私の全力は誠実だ。
次回のHKT48 梁瀬鈴雅「鈴の音」は、2月末更新予定です お楽しみに!!
ニックネーム れいあ
生年月日 2006年6月29日
血液型 B
出身地 神奈川県
身長 170cm
趣味・特技
音楽鑑賞・楽器演奏・楽譜、楽器集め・ゲーム・フィールドホッケー/約30種類の楽器を演奏できること・努力・常磐津
メッセージ
自分自身がHKT48の元気と明るさに救われた経験があるからこそ、私も誰かに元気を与えられる存在になりたいと強く思っています。私のパフォーマンスで誰かの心を動かすことができるよう、常に全力で、全身全霊で頑張ります。ぜひHKT48劇場に会いに来てください。絶対に後悔させません!
梁瀬 鈴雅 HKT48 公式プロフィール


梁瀬 鈴雅