リモートワークや外出自粛で、家で過ごす時間が増える今だからこそ、子どもと一緒に楽しめるのが「アナログゲーム」。電子機器を使わないで遊べるゲームのことを指し、大規模なイベントも開催されるほど愛好者も多く、大人同士でも楽しめると人気が高い。ゲームデザインや漫画原作を手掛ける藤浪智之先生に、オススメのタイトルを紹介してもらいました。

奥深いゲーム性が人気の秘密

「アナログゲーム」とはボードゲームやカードゲームなど、電子機器を伴わないゲームのことです。「無電源ゲーム」や「テーブルゲーム」と呼ばれることもあります。

 将棋・チェス・花札・トランプなどの伝統ゲームもアナログゲームといえますが、現在、世界中で独自のルールを持つ新しいゲームが多数発売されています。

こうした人間同士で遊ぶゲームは、日本でも愛好する人が増え、一過性のブームではなく、ひとつの娯楽文化として育っている感があります。

「スマホやゲーム機を使わないゲーム」と聞くと、単純でありきたりのルールや、逆に手間がかかる面倒な内容を想像されるかもしれませんが、多数のタイトルが発表され、内容もとても洗練されており、驚くようなプレイ感覚や、奥深いゲーム性を持ったものも多くあります。

そんなアナログゲームの魅力を紹介していきたいと思います。

限られたカードで奥深い宮廷劇

◎ラブレター

『ラブレター』はカードゲームです。タイトルの通り、おとぎ話のような王国の王女へ恋文を送るという背景ストーリーですが、ゲームの目的は途中で脱落せず、より高い点数のカードを手にすることです。特長はカード枚数の少なさです。

ゲームに使われるカードはわずか16枚。各プレイヤーの手札は、たった「1枚」(1枚カードを引いては1枚使う、という手番を繰り返します)。

限られたカードのやり取りのなか、特殊な効果のあるカードを駆使し、相手の持ち札を読みあうことになります。

プレイ時間も短く、1ゲームは5分ほど。時には一瞬で終わったりもするのですが、非常に奥が深いゲームです。

▲『ラブレター』のカードは様々な能力を持つ

『ラブレター』の構造的な美しさは大変な人気を呼び、グラフィックや背景ストーリーの異なるバージョンが、日本でも海外でも製品化されました。人気のコミックや映画を題材に『ラブレター』化したものもあります。

恋愛ものはちょっと……という方は、怪奇作品「クトゥルフ神話」を題材にした『ラブクラフト・レター』などは、いかがでしょうか。

〇ラブレター(株式会社アークライト)[https://arclightgames.jp/product/ラブレター/

〇ラブクラフト・レター(株式会社アークライト)[https://arclightgames.jp/product/ラブクラフト・レター/

文字を駆使するカードしりとり

◎ワードバスケット

『ワードバスケット』は、カードをつかった「しりとり」です。

各カードには『あ』『わ』『に』など文字が書かれています。場に出ているカードの文字からはじまって、自分の手札にあるカードの文字で終わる単語を思いつけばカードを出すことができます。

たとえば、場のカードが『に』なら「ニュース!」と言って『す』のカードを出せるわけです。そして『す』が新たな場のカードとなり、参加者はどんどんカードを出しながら「しりとり」をしていきます。

なかには、一定条件で出せる特殊なカード(「場の文字からはじまる5文字の単語なら何でも出せる」など)もあり、ゲームに変化と戦略を与えます。

そうやって、いち早く自分のカードを出しきったプレイヤーが勝利することになります。ボキャブラリーと発想力、反射神経などが問われるゲームで、熟練者同士だと、百人一首の大会のごとく白熱した展開になりますが、一方で「しりとり」と同じく、誰でも楽しめるゲームです。

子ども向けのキッズバージョンもありますから、家族でお子様と楽しむこともできるでしょう。

“文字通り”財宝をつかめる!

◎インカの黄金

ゲームのコマやボードなど、備品が実体としてあり、それに実際に手にして遊ぶ「手触り感覚」も、アナログゲームの魅力です。視覚的に美しいボードや、見ているだけで楽しいコマのゲームも多数あります。

▲『インカの黄金』のカードや備品

『インカの黄金』は、秘境探検をして財宝を集めることが目的のゲームです。探検家となったプレイヤーは、全員で危険な遺跡を進んでいきますが「どこで引き返すか」の決断が重要になります。

先へ進むほど、財宝が手に入り、人数が少なくなれば分け前が増えますが、判断を誤ると全てを失い丸損となってしまいます。

ゲーム自体もスリリングで、誰でも楽しめますが、現在発売されている「新版」は、手に入る黄金や黒曜石などの財宝、探検家のコマ、テント(ゲーム上では手に入れた財宝を隠すのに使用)など、ゲームに使用する備品が立体的に用意されており、それらを使ってのプレイも楽しい内容になっています。

〇インカの黄金 新版 完全日本語版(株式会社アークライト)[https://arclightgames.jp/product/インカの黄金新版/

ライトに楽しめる「正体隠匿型ゲーム」

アナログゲームといえば『人狼ゲーム』をまず思い出す方も多いかもしれません。

参加者のなかに、正体を隠した「人狼」が潜み、人狼役は正体を隠しながら、他の人間たちを襲い、人間側は人狼の正体を探り当てて処刑することを目的とする、スリリングな内容です。

推理と騙しあいのゲームであり、疑心暗鬼に囚われ無実の仲間を処刑してしまうこともしばしばあるという、人間の集団心理の怖ろしさも剥きだしにしてしまうような面もあります。

これはアナログゲームでも「正体隠匿型」と呼ばれ人気があるジャンルで、『人狼』の派生作だけでも、実に多数のタイトルがあります。

◎タイムボム

そのひとつが『タイムボム』です。いうなれば「ライトに楽しめる人狼型ゲーム」といえるもので、ゲーム途中の脱落も、誰かを選んで排除する必要もなく、それでいて「正体を隠して行動」と「正体を探る」というゲームの楽しさが味わえます。

▲326(ナカムラミツル)氏のイラストもコミカルで可愛らしい『タイムボム』

コミカルなSF仕立ての設定で、プレイヤーは「時空警察」となって、タイムボムという爆弾の解除に挑むことになりますが、正体を隠した「ボマー団」が紛れ、こちらは爆弾を爆発させることが目的です。

ゲーム内では、時限爆弾の解除のごとく、多数ある「導線」を1つずつ切っていくことになりますが、警察側は「解除」する導線を切ることを目指し、ボマー団はそれを妨害するか、起爆させる導線を切るのが目的となります。互いの正体を推測しながら、誰に導線を切らせるかを読みあいながら行動することになります。

グラフィックも楽しく、2人から8人と幅広い人数で遊べるのも特徴です(2人プレイの場合、自動的に行動する第三者がゲーム内に登場する、特殊ルールを使用します)。

〇タイムボム(株式会社アークライト)[https://arclightgames.jp/product/タイムボム/

 STAY HOMEでもリモートでも、家族や仲間と楽しむことができるアナログゲーム。この機会に遊んでみてはいかがでしょうか。


<アナログゲームを取り扱う店 ※通販もあり>

すごろくや:https://sugorokuya.jp/
イエローサブマリン:http://www.yellowsubmarine.co.jp/

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