新型コロナウイルスが世界を覆う今だからこそ、家族や仲間と協力して何かに取り組み、目的意識を高めたい。そんな内容の「アナログゲーム」を、ちょっと懐かしい剣と魔法の世界を描いたコミック『マンションズ&ドラゴンズ』の原作も手掛け、ゲームとファンタジーを愛する藤浪智之先生に紹介してもらいました。

危機を乗り切れ協力型ゲーム

アナログゲームのなかには「協力型ゲーム」というジャンルがあります。勝敗を競うのではなく、参加するプレイヤー全員が協力し、共通の敵や困難な状況に立ち向かうというものです。

ゲームといえば、勝ち負けや順位を決めるものと思われがちですが、こんなものもあるのです。参加者全員が、知恵をしぼって力を合わせ、困難に打ち勝ったときの達成感や連帯感は、ときには感動的でもあります。こんな状況のいまこそ、いかがでしょうか。

仲間と共にドラゴンを倒せ!

◎ドラスレ

『ドラスレ』は、ファンタジー冒険をテーマにした「協力型ゲーム」です。

▲『ドラスレ』のキャラクターのカードとメタルフィギュア

剣闘士、狩人、聖堂騎士、忍者、王子といった、それぞれ能力や装備の異なるキャラクターを担当し、2人~5人のプレイヤーが協力して、ドラゴンを退治することが目的です。

まず「冒険フェイズ」でマップ上を移動し、冒険や調査を行って、キャラクターを成長させたり、情報を集め、一定の条件となったら「決戦フェイズ」へ移行します。

冒険に時間を費やすとキャラクターはレベルアップしますが、ドラゴンの「警戒度」も上昇していくため倒すのが困難になります。どこで決戦に向かうかは、ひとつの決断となるでしょう。

プレイ時間は慣れれば30分ほどですが、王道的なファンタジーの要素がコンパクトに凝縮されたような好ゲームで、参加プレイヤー皆で「旅の仲間」となって大冒険を成し遂げる感覚が味わえます。

グラフィックも美麗で、コマとなるメタルフィギュア(金属製人形)が付属されているため、雰囲気も抜群です。単体でも十分に遊べますが、追加のキャラクターやマップなどの「拡張用セット」も多数発売されており、遊び方を広げていけることも魅力です。

力をあわせ、人類の危機に立ち向かう!

◎パンデミック

協力型ゲームとして有名な人気タイトルに『パンデミック』があります。その名の通り、医者や学者となって、世界各地で発生する疫病に立ち向かい、パンデミック(世界的流行)を防ぐというものです。

まさに現在の時勢に合っていますが、現在品切れ中で入手するのは大変困難となっています。

◎ボルカルス

『ボルカルス』は、巨大怪獣をテーマにしたもので、まさに映画『シン・ゴジラ』のような、破壊の限りを尽くす強大な怪獣と、それに立ち向かう人間の戦いが描かれます。

 ゲーム形式としても、従来のような「対戦型」との融合で、怪獣側は1人のプレイヤーが担当して東京の破壊を目指し、人間側は複数のプレイヤーが協力してそれを防ぐという内容になっています。

不思議の国の謎解きゲーム

「協力型ゲーム」のなかには「謎解き・脱出ゲーム」に類するものもあります。

ライブ型イベントやアミューズメント施設でのイベントなどで人気の「脱出ゲーム」。会場に施された謎や暗号を解いて、その場所からの脱出やゴールを目指すというゲームですが、それがパッケージされ、テーブルの上でボードゲームのように遊べる……と説明すればよいでしょうか。

アナログゲームは、ふつうは何度でも繰り返し遊べるものですが、この種のゲームは(謎が解けたら、ネタを知ってしまったことになるため)一度しか遊べません。しかし、それゆえに「一度だけのプレイ体験」が、他には替えがたいものになります。

◎アリスと謎とくらやみの物語

『アリスと謎とくらやみの物語』は、そんな「協力型・謎解きゲーム」のひとつです。

▲世界観に入り込める備品が豊富な『アリスと謎とくらやみの物語』

タイトルからお察しのように、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をモチーフにしたものです。暗闇に覆われた世界に迷いこんだ、少女アリスを助け、謎を解いて闇を明かしていくのが目的です。

「チェシャ猫」や「帽子屋」などお馴染みのキャラクターが登場し、繰り出される暗号やパズルに、プレイヤーは協力して取り組んでいくことになります。

ゲームの備品が豊富で、その演出も大変凝っています。指示に従って、本を開くようにゲームの舞台が明かされていき、主にカードによって謎や手がかりが提示され、謎を解くごとに、舞台も視覚的に変化していきます。

ときには「時計盤」に「時計の針」を置いたり、奇妙なお茶会のテーブルの上に「ティーカップ」や「お皿」を並べたり、というゲーム内の行動を、実際に付属されている紙製のコマを置くことによって解く謎もあります。

ゲームの性質上、どんな内容なのかは明かせませんが、ゲーム進行や謎解きが、アナログゲームならではの「実物があって、見て、動かせるカードや備品」が存分に活かされ、その展開は劇的です。

自宅のテーブルを囲みながら、参加者全員で、映画のなかで冒険するような、あるいはアミューズメントパークで遊んだような感覚が味わえる作品です。

(ゲーム進行のために「LINEアプリ」を使用するため、参加者全員でひとつは、アプリがインストールされたスマホやタブレットが必要となるので注意してください)

進化し続けるアナログゲーム

駆け足気味の説明になってしまいましたが、アナログゲームの魅力の一端は伝わりましたでしょうか。

カードやボードを使い、人間同士でプレイするアナログゲームには、ほかにも多数のタイトルがあります。扱うテーマもさまざまで、軽く楽しめるものもあれば、やり応えのある「重いゲーム」もあります。

ゲームシステムも次々に新しいものが生まれています。例えば現在は「正体隠匿型ゲーム」にストーリー性と、推理要素が複合された「マーダーミステリー」という新しいジャンルが注目され大変人気になっています。

自宅で過ごす時間が多くなってしまい、インドアで出来る、新しい楽しみを探している、そんなあなたのお役に立てば幸いです。

<アナログゲームを取り扱う店>

すごろくや:https://sugorokuya.jp/
イエローサブマリン:http://www.yellowsubmarine.co.jp/

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