アタッキングフットボールを信じる男

ポステコグルー監督は就任以来、「信じる」というフレーズを頻繁に用いてチームを作ってきた。結果を出せずに苦労した1年目も、優勝という成功を手にした2年目も、そして3年目の指揮となる今年も、まったく変わっていない。

この人は不安にならないのか?

「私はこのサッカーを貫いて、これまでずっと成功を収めてきた。いまのやり方が成功に最も近い方法であることを知っている。だから不安にはならない。スタイルを変えるほうが不安になってしまうだろう」

成功しか知らない。だから迷わない。アタッキングフットボールを貫き、横浜F・マリノスは15年ぶりに頂点に立った。途中、戦術面での細かなマイナーチェンジこそあったが、ボールを持って主導権を握り、ゲームを支配するという狙いの根本は変わらない。

連勝しているときも、連敗しているときも、選手たちは迷わなくなった。ポステコグルーは堂々と胸を張る。

「自分は、選手のせいにしたことが一度もない。責任は自分が取ればいい。だから信じてついてきてほしいと言い続けた。1年目は残留争いをして結果を出せなかったが、タフな時間を過ごしたなかでも、選手たちは信じてついてきてくれた。私だけが信じても意味がない。結果が出ないことで自分の地位を守るためにやり方を変える人もいるが、私は変えないで貫いた」

責任転嫁しない。保身に走らない。信じてほしいと訴え続ける。信じる力の尊さは、2年目の優勝によって実証された。