こんにちは!L.A.と東京を行ったり来たりしながら、プロデュースやディレクションの仕事をしています。風野又二朗です。東京に緊急事態宣言が出て、1ヶ月ちょっとが経ちました。

僕たちのエンターテイメント業界も大きな局面を迎えました。ここで僕らは何をするべきなのか。どういったものをお届けするべきなのか、それは作ることができるのか。役者が監督が、作家がスタッフが、何ができるのか、みんなが自分の力と発想と行動し発表する勇気と、向き合う事になりました。

風野又二朗が所属しています、トライストーン・エンタテイメントという事務所では、非常事態宣言が出る直前、所属俳優達の間で話し合いが行われていました。これから事態を迎えるにあたって、役者は何ができるだろう、何をすべきだろうという闊達な議論が行われていました。

そして、Youtubeに事務所のアカウントが作られ、メッセージが発表されました。

『あなたと あなたの大切な人。そして誰かの、大切な人を守るため、手洗い、うがい、集わない。他にも、みんなでできる事。みんなで一緒に、未来のために』

miwaが作曲した曲を、清塚信也氏がアレンジしてピアノで弾き、そこにトライストーン所属の俳優達がメッセージを伝えていく、心が入った動画でした。風野又二朗も所属している一人として、出演の方でも参加しました。

▲トライストーンyouyubeより

ええ。自分でも思ってました。薄々気がついてはいたし、そうなるだろうなあって事は分かってはいたんですけど。

▲トライストーンyouyubeより

やはり、人間の皆さんと並ぶと、浮くね!めっちゃ浮いちゃうね!ほら、普段はこのコラムの中だけで、風野又二朗のワンショットでお届けしていたから、あまり大きな違和感は生まれなかったんですけど、これは浮いた。

(一方、前原滉くんも、飼ってる猫ちゃんを抱っこして出演していましたので、色んな猫がいる事で、猫への違和感が少し薄れて、良かったなと思っています。)

▲トライストーンyouyubeより

4月以降、様々な作品が発表されました。zoomやskypeで、そしてyoutubeなどを使って、人と物理的近距離で会えないという中で、『限られた条件で何ができるのか』の中でそれは発表されていきました。

根本宗子さんのリモート演劇は、zoom演劇の中ではかなり早い発表で驚きました。面白かったです。その後も、zoomを使った演劇や映画は続きました。

行定勲監督や上田慎一郎監督のzoom映画も新しい試みの中で、たくさん挑戦されていて面白かったですし、三谷幸喜さん原作の「12人の優しい日本人」の生朗読もとても引き込まれました。

中でも、全く新しく、仕組みをひっくるめて革新的な作品を発表したのが、ムロツヨシさんがインスタライブの中で演じた『ムロツヨシショー』でした。

ヨーロッパ企画の上田誠さんと、ライゾマティクスの真鍋大度さんと一緒にムロさんが作り上げた世界は、限られた条件は有限だ、だけどそこには無限があるという事を見せてくれました。

3人の、演劇、映像、エンターテイメントの叡知を集結させて、スピード感、完成度、センスがこの短期間に練り上げられていて、圧巻でした。

おっと、あまり細かくすごいすごいと書くと、逆に嘘になってしまいそうでこのあたりで止めておきます。3人が立ち上げられた【非同期テック】は、また作品を発表されるそうなので、楽しみにしています。

こんな時代だからこそ、エンターテイメントが必要だ、という声を聞きます。いえ、どんな時代でも、エンターテイメントは必要とされてきました。穏やかな時代も、困難な時代も、文明がここまで発達していなかった時代でも、楽しい事は必要とされてきました。

風野又二朗も、微力ではありますが、力を合わせて、楽しい何かをお届けしていきたいと思っています。

今回のオススメ映画は【CHEF】(三つ星フードトラック始めました)です。アイアンマンの監督が作っているのですが、とっても穏やかな映画です。自粛生活で、自炊生活が続いているあなたに特にオススメです。この映画を見た後は、料理へのモチベーションが高まります。切り株に座って、穏やかな風に包まれながら、小動物を見ているような幸せな気持ちになります。ぜひ、見てみてください。それでは、また、風の吹く日に。

『風をあつめて、巻き起こす』は次回6/5(金)更新予定です、お楽しみに。