音声つきのトーキーとカラー映画の登場
世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』(アル・ジョルソン主演)が公開されたのは1927年でトーキー時代に突入。1935年には最初のカラー映画であるルーベン・マムーリアン監督の『虚栄の市』が出現した。
「喜劇王」チャールズ・チャップリンは、俳優、監督、プロデューサー、作曲のすべてをみずからこなし、81本の映画を製作した。言葉の壁を越えて世界中の人々に感動してもらいたいと、サイレント映画にこだわった。『黄金狂時代』(1925年/アメリカ)、『街の灯』(1931年)、『独裁者』(1940年)などが代表作。
ルイス・ブニュエル監督の『アンダルシアの犬』(1928年/フランス)は、画家サルバドール・ダリの協力で撮影されたシュル・レアリスム映画。
1930年代には、第一次世界大戦を描いたある種の反戦映画で、ドイツ人の原作をアメリカ人のルイス・マイルストンが監督した『西部戦線異状なし』(1930年/アメリカ)と、フランスのジャン・ルノワール監督の『大いなる幻影』(1937年/フランス)、『ゲームの規則』(1939年)が登場した。
ヴィクター・フレミング監督の『オズの魔法使い』(1939年/アメリカ)は、カラーのミュージカル映画で娯楽作品として記念碑的なものとなった。同じ監督の『風と共に去りぬ』(1939年)は、南北戦争の時代を描いた大作で、総天然色だが日本では戦前には公開されず、戦後に大ヒットした。テーマ音楽も含めていまも人気。
オーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』(1941年)は、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしたもので、取材した関係者の証言から回想形式に描かれる技法が話題となり、現在でもアメリカを代表する映画として不動の評価だ。
『カサブランカ』(1942年)は、マイケル・カーティス監督でハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマンが主演した戦争中のモロッコを舞台にしたラブ・ロマンス。
西部劇もアメリカ映画に欠かせない。ジョン・フォード監督が、ジョン・ウェイン主演で製作した西部劇の原点ともいえる作品が『駅馬車』(1939年)。『シェーン』(1953年)はラストの台詞「シェーン! カムバック!!」が有名。
戦後、イタリア製作のマカロニ・ウェスタンも話題になった。『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966年/イタリア・スペイン・西ドイツ)は、監督セルジオ・レオーネ、主演クリント・イーストウッド、音楽エンニオ・モリコーネのトリオ作品。
『天井桟敷の人々』(1945年/フランス)は、マルセル・カルネ監督が、第二次世界大戦中のヴィシー政権下で製作した白黒映画。19世紀のパリの下町を舞台にしたおしゃれな映画。
※本記事は、八幡和郎:著『365日でわかる世界史』(清談社Publico:刊)より一部を抜粋編集したものです。