第28回大会は104年ぶりのギリシャ開催
スペイン統一とコロンブスのアメリカ大陸発見から500年目の1992年には、セビリアで万博が、バルセロナでオリンピックが開かれた。バルセロナは商業化路線を推進したフアン・アントニオ・サラマンチ会長の地元でもあった。
第25回・バルセロナ(スペイン/1992年)……開会式でのアーチェリーを使った聖火点火や、有名歌手が勢ぞろいした音楽アトラクションは好評だった。プロ選手に解禁されたバスケットボールでは、アメリカのドリームチームが優勝した。
初の正式種目となった野球ではキューバが金メダル。男子体操でベラルーシのビタリー・シェルボが6個の金メダル。中学生の岩崎恭子(いわさききょうこ)が平泳ぎで金メダルを獲得した。
柔道では吉田秀彦(よしだひでひこ)や古賀稔彦(こがとしひこ)が金。柔道女子が正式種目となった。オリンピック体育館を磯崎新(いそざきあらた)が設計し、開会式のマスゲームの音楽を坂本龍一(さかもとりゅういち)が作曲した。
第26回・アトランタ(アメリカ/1996年)……ボクシングのスーパーヘビー級で、ウクライナのウラジミール・クリチコが金メダル。グレコローマンレスリングの「霊長類最強の男」アレクサンドル・カレリン(ロシア)が金。
カール・ルイスは走り幅跳びで連覇。恵本裕子(えもとゆうこ)が女性柔道で初めての金メダル。田村亮子(たむらりょうこ)は、北朝鮮の桂順姫(ケースンヒ)が柔道着の襟を左右逆に着る奇策に敗れる。男子サッカーでブラジルを破る「マイアミの奇跡」を実現したが予選リーグ敗退。ヨットや自転車競技でメダルを獲得。
第27回・シドニー(オーストラリア/2000年)……聖火リレーの最終点火者は、先住民アボリジニ出身者が務めた。水泳自由形のイアン・ソープが3個の金メダル。ギリシャのコンスタンティノス・ケンテリスが陸上男子200mで優勝。女子走り幅跳びのハイケ・ドレクスラー(ドイツ)は前々回に次いで2度目の金。
サッカーはカメルーンが金。柔道の田村亮子が念願の金メダル。篠原信一(しのはらしんいち)は、前大会覇者でフランスのダビド・ドゥイエに疑惑の判定で敗れた。ドゥイエはのちにフランスの閣僚になった。ほかにも柔道では、2大会連続金メダルの野村忠宏(のむらただひろ)をはじめ、井上康生(いのうえこうせい)や瀧本誠(たきもとまこと)らが金。
第28回・アテネ(ギリシャ/2004年)……準備遅れが心配されたが、結果的には大成功だった。モロッコのヒシャム・エルゲルージが1500mで金メダル。テコンドーで陳詩欣(チンシキン)が台湾として史上初の金メダル。
中国の劉翔(リュウショウ)が110mハードルで、アジアで初のトラック競技での金。柔道の野村忠宏が3大会連続、谷亮子も2大会連続の金。日本は男女8個の金メダル。体操男子団体総合でも28年ぶりに頂点に。
男子ハンマー投げでは、ハンガリー選手がドーピング検査拒否で失格となって、2位だった室伏広治(むろふしこうじ)が繰り上げで金メダル。シンクロナイズドスイミングで立花美哉(たちばなみや)、武田美保(たけだみほ)がデュエットと団体で銀。
※本記事は、八幡和郎:著『365日でわかる世界史』(清談社Publico:刊)より一部を抜粋編集したものです。