ずっと気持ちが晴れない……新型コロナウイルスの影響によって心身ともに不調をきたしてしまう「コロナうつ」の問題が表面化しています。精神科医として活躍している藤野智哉医師に、コロナ禍が人に与えたマイナスのエネルギーについて考察してもらいました。
※本記事は、藤野智哉:著『コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
欲望や感情を優先する姿勢に嫌悪感
自粛要請が続く中、週末に観光地へ車が殺到し、道路が大混雑する様子がニュースで流れました。これを見た瞬間、多くの人が複雑な思いを抱いたことでしょう。
「車から出ないのならいいのでは」という意見も聞かれましたが、多くの人は「自分たちはこんなにつらい思いで自粛をしているのに……」と、やるせない気持ちになったようです。
もちろん外出自粛を守っている人は、ルールを守らない人が気になって仕方ありませんよね。ワイドショーも連日、ルールに従わない人たちを報道しているので、イライラは加速していきます。
そういう人たちは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、都合よく解釈してしまったりします。楽観的な人という評価を受けることが多いのですが、こういうご時世にそういう人たちを見ているとイライラしてしまう気持ちもわかります。
自分勝手な人たちを見ているとなぜイライラするのでしょう。たとえば酒場に繰り出している人は、「人混みでコロナに感染する」「他人に迷惑をかける」という判断よりも、自分自身の欲望を優先しているように思えるからです。
コロナに打ち克つという人類の大きな目標があるのに、目の前にある小さな利益、欲望、感情を優先しているのが許せないのです。
同時に、たとえ自分が感染しても、他者に迷惑はかからないのではないか。もし迷惑をかけても自分が責任をとればいいという態度も許せないのです。
あなたは真面目な人なので、自分は我慢しているのに、その一方で欲望に身を任せた不遜な態度が許せないのです。