この店は「やきとん」が売り!
こちらの『大黒』はやきとんが売り。やきとん=もつ焼き。私が世界で一番好きな食べ物ですが、プリン体の含有量がとにかく高い。
「うまいうまい」と言いながら調子に乗って食べると、翌朝には足の小指が痛くなる。痛風にはビールが悪いなんて言いますけど、実はビールなんてたいしたことない。魚卵や獣の内臓がいちばん効くんです。特にレバーなんて、てきめんに足が痛くなります。
だけどレバーはうまいんです。冗談抜きで夢に出てくることがあります。夢に見るのはプリッとしたフォルムの甘くてうまいレバ刺し。甘くてとろけるようなあの味を食べられなくなって幾年月。だけど、希望を捨ててはいけない。
普通に考えたら、品川あたりの食肉工場でとれたてのレバーを食べるのがいちばんうまいわけです。それこそ昔はつぶしたててで、温かいレバーが食べられたといいます。
しかし、時代は変わった。検査は厳しくなり、新鮮な肉は手に入りづらくなった。さらに内臓の人気が高まると、うまいレバーは入手困難に。焼肉屋ではどこも似たり寄ったり。おいしくないレバーを食べているから、子供だって好きになるわけがない。
大黒のレバテキを初めて食べた時、脳天を撃ち抜かれたかと思いました。「なんだこりゃ!!」と叫びながら私は床にうずくまり、そして立ち上がり、ジョッキを一気に飲み干した。その時もたしかハイボールだった。それくらいの衝撃だったんです。
この日も思わず「うまい!」と叫んだら、店主はニヤッと笑った。
「うまい=甘い」が私の持論です。レバーって甘いんだなあと改めて気がつきます。
これ、これ!
甘くて、コクがあって、他に例えようのないうまさなんです。
ジョッキの酒を飲み干して、おかわりを頼みましょう。レバーにかかったネギだれがまたうまい。これだけで酒が飲める。
何度も言わせてください。
「うまい」。
同時に足の小指が疼いている気がする。私の小指が3回ズキズキと点滅すると「ウマイ」のサインなんですね。こうなったら大きな声で言いましょう。
「レバテキアイシテル」。
他のメニューもじゃんじゃん頼みましょう。メニュー表をながめ、店内を見渡します。常連さんも多いようだけど、初めての方もいる。でも、みんな楽しそうだ。焼き場に立った店長は、串を焼きながら、客の酒の減り具合に目を配っている。だからついつい飲みすぎちゃう。きっとできる男なんでしょう。
チューハイおかわりを頼みます。チューハイは港です。いつかここに帰らなくてはいけない。
さて、4杯ほどジョッキを空にしたあたりで、今夜はお暇しましょう。私にとってレバーはなによりのご馳走なんですが、さすがに食べ過ぎるわけにはいかない。
明日は足が痛むかな。痛まないといいな。
今夜はたくさん水を飲んで寝ることにしましょう。長年の経験から、痛風には適度な運動と、水分補給が大事なんですね。酔い覚ましに家まで歩いて帰るのもいいな。いや、もう一軒いっちゃおうかな。そんなことを考えている時間もまた楽し。
さて、次はどの店に行こうかしら。ふらりふらりと次の街へ。
『立ち飲み・マイ・ラブ♡ - 痛みに負けるな!-』は次回6/19(金)更新予定です、お楽しみに。
■立呑み焼きとん大黒 蒲田店
住所:東京都大田区西蒲田7-1-10 蒲田フジビル1F
電話:03-3733-7105
営業時間:12:00~22:00
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店前にご確認ください。