他愛のない話や愚痴をこぼせるサポーターを作っておく
ストレスを上手くかわすための有益な手段のひとつとして、家族や友人、知人と「話す」ということがあります。これは多くの方が経験的に、無意識のうちに実践していらっしゃることでしょう。
大切なことは、誰かと話すことで、問題自体は解決されなくてもいいということです。気持ちを口に出すだけでも、かなりのストレスが軽減されるものだからです。
他愛のない話や愚痴にも、嫌な顔を見せずに付き合ってくれる仲間を数人キープしておくことは、非常に大切なことです。それは、あなたの「サポーター」とも言うべき、貴重な存在です。
欲を言えば、悩みの種類によって違う相手に相談できるくらい、自分を応援してくれる人を複数確保できればいいでしょう。それはサポーターという存在を超えて、あなた個人の「サポートシステム」になっていきます。
例えば、仕事上の相談は職場の先輩、異性関係について打ち明けるのは古くからの友人、健康上の悩みについては医療関係の仕事をしている知人、ファッションアドバイスを求めるのはおしゃれに定評がある友人……。このように役割別に「分業制」にできると理想的でしょう。
もちろん、自分が困った時だけ都合良く長電話に付き合わせたり、呼び出して話を聞いてもらったりという姿勢では、相手も困ってしまいます。世の中は「持ちつ持たれつ」ですから、自分も誰かのサポーターになれるよう、人間関係を細く長く維持していくことも必要です。
忙しくて実際に会うことは難しくても、今は電話やメール、SNS(ソーシャルネットワーク)などで近況を報告し合ったり、楽しくつながることが容易になっています。
気を遣うことがストレスなら「カウンセリング」へ
一方で、「踏み込んだ人間関係は避けたい」という人や、「口下手なので、あまり話をしたくない」という方もいらっしゃいます。
適度な距離感で、気を遣い過ぎずに人とのコミュニケーションを楽しみたい場合は、共通の趣味を持つ仲間を作ることをおすすめします。ハイキングのサークルや、手芸や編み物などの教室などの輪に入る場合、趣味が中心にあるため、頻繁な会話は求められないからです。
また、特殊な悩みについては、同じ境遇の人を意識的に探す努力も大切です。例えば、病気や障がいのことで誰かの意見を聞きたくなることもあるでしょう。
「認知症の親を介護している人から、アドバイスが欲しい」
「わが子が自閉症なので、同じような子を持つ親御さんの話を聞きたい」
そのような時は、サポートグループや患者会などにアクセスしてみるのも有効です。
とはいえ、そのような心を許せる存在が、急につかまらない時もあるかもしれません。入学や就職、結婚、出産などライフステージの変化によって、同じような境遇の相談相手がいなくなってしまうことだって起こり得ます。
今の自分の状況に共感していない相手に相談を持ちかけた場合、理解が得られず、より一層のストレスになることもあります。未婚の友人に夫婦間のトラブルや子育てについての相談を持ちかけたとしても、相手は困惑してしまいます。
そんな時こそ、カウンセリングを受けるのがいいでしょう。日本にサイコロジストはいませんが、カウンセラーなどの有資格者は多くいます。ぜひ、自分の通える範囲の中で探してみてください。
メンタルヘルスに対する理解が浸透しているアメリカでは、精神科医は「内科医」と同じほどポピュラーであり、そこにタブー的なニュアンスを感じたことは、一度たりもありません。しかし、日本ではまだまだそのような理解は、一般的ではないようです。
日本の皆さんの精神科医への心の敷居が取り払われ、正しい理解が早く広まることを願わずにはおれません。